B-12. Iliac-Bladder Compression Syndrome—DVTを発症する新たな疾患概念

「はじめに」1856年にVirchowにより提唱された血栓を形成する3つの成因((1)血流の停滞, (2)血管壁の障害, (3)血液凝固能の亢進)は, 今日でも血栓形成の重要な理論として用いられている. 深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis;DVT)の発生にはこれらの3徴に分類される複数の要因(肥満, 長期臥床, 手術, 妊娠, 脱水等)が関与していると考えられている. しかし実臨床では, これらの要因が乏しいにも関わらずDVTを発症する症例を経験することが多く, まだ認識されていないDVTの原因が存在すると推察される. 今回, われわれは膀胱の充満による腸骨上静脈の圧排が...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 7; pp. 1012 - 1015
Main Authors 橋本, 東樹, 岡, 俊治, 河越, 卓司, 井上, 一郎, 播磨, 綾子, 森田, 裕一, 大井, 邦臣, 嶋谷, 祐二, 臺, 和興, 松井, 翔吾, 西岡, 健司, 島本, 恵子, 須澤, 仁, 三浦, 史晴, 中間, 泰晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.1012

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Summary:「はじめに」1856年にVirchowにより提唱された血栓を形成する3つの成因((1)血流の停滞, (2)血管壁の障害, (3)血液凝固能の亢進)は, 今日でも血栓形成の重要な理論として用いられている. 深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis;DVT)の発生にはこれらの3徴に分類される複数の要因(肥満, 長期臥床, 手術, 妊娠, 脱水等)が関与していると考えられている. しかし実臨床では, これらの要因が乏しいにも関わらずDVTを発症する症例を経験することが多く, まだ認識されていないDVTの原因が存在すると推察される. 今回, われわれは膀胱の充満による腸骨上静脈の圧排が一因となりDVTを発症した症例を経験したため報告する. 「症例」症例:77歳, 男性 主訴:右下肢腫張 既往歴:高血圧症, 脂質異常症 生活歴:妻と同居, ADL良好で毎日テニスをしている. 現病歴:2013年4月 朝起床時より, 右下肢の腫張を自覚したため近医を受診した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.1012