外傷性脾損傷症例の治療戦略

近年,外傷性脾損傷における手術療法は減少し,経カテーテル肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;以下,TAE)や保存的治療などの非手術療法(non-operable management;以下,NOM)の占める割合が増加してきている.当院における外傷性脾損傷症例について検討すべく,過去7年間に搬送された36例の検討を行った.全体の半数以上にあたる20例(55.5%)が脾損傷分類III型の重症であったが,手術を行ったのは3例(8.3%)のみであった.非手術療法を選択した症例のうち手術に移行した症例はなく,NOMの成功率は100%であった.脾損傷が直接...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 7; pp. 1457 - 1462
Main Authors 原, 真也, 松岡, 永, 甫喜本, 憲弘, 桑原, 道郎, 大西, 一久, 山井, 礼道, 山本, 祐太郎, 谷田, 信行, 浜口, 伸正, 藤島, 則明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1457

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Summary:近年,外傷性脾損傷における手術療法は減少し,経カテーテル肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;以下,TAE)や保存的治療などの非手術療法(non-operable management;以下,NOM)の占める割合が増加してきている.当院における外傷性脾損傷症例について検討すべく,過去7年間に搬送された36例の検討を行った.全体の半数以上にあたる20例(55.5%)が脾損傷分類III型の重症であったが,手術を行ったのは3例(8.3%)のみであった.非手術療法を選択した症例のうち手術に移行した症例はなく,NOMの成功率は100%であった.脾損傷が直接の原因で死亡した症例は1例のみであった.他臓器合併損傷,特に意識レベルの低下をきたすような症例では,救命率が低下する可能性があり注意が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1457