すりガラス陰影を呈し肺癌との鑑別を要した肺原発MALTリンパ腫の1例

症例は76歳,女性.横行結腸癌の術前検査目的で撮影された胸部CTで,左肺S1+2からS6にかけてすりガラス陰影を指摘された.経過観察されていたが,陰影の増大および充実成分を認めるようになり,PET/CTで陰影に一致する18F-FDGの集積を認めた.肺癌を疑われ,気管支鏡検査が施行されたが,確定診断を得られず,診断と治療を兼ねた手術を施行した.術前画像で左肺S1+2とS6の病変は一塊と診断していたが,術中所見では左肺は完全分葉で,病変の臓側胸膜への露出を認めず,各々独立した多発性病変と診断した.完全胸腔鏡下左肺S1+2+3+S6区域切除術を施行し病変を切除した.切除標本の左肺S1+2とS6には,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 11; pp. 1906 - 1911
Main Authors 藤井, 雅和, 藤井, 美緒, 林, 雅太郎, 野島, 真治, 佐藤, 彩香, 金田, 好和, 田中, 慎介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.1906

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Summary:症例は76歳,女性.横行結腸癌の術前検査目的で撮影された胸部CTで,左肺S1+2からS6にかけてすりガラス陰影を指摘された.経過観察されていたが,陰影の増大および充実成分を認めるようになり,PET/CTで陰影に一致する18F-FDGの集積を認めた.肺癌を疑われ,気管支鏡検査が施行されたが,確定診断を得られず,診断と治療を兼ねた手術を施行した.術前画像で左肺S1+2とS6の病変は一塊と診断していたが,術中所見では左肺は完全分葉で,病変の臓側胸膜への露出を認めず,各々独立した多発性病変と診断した.完全胸腔鏡下左肺S1+2+3+S6区域切除術を施行し病変を切除した.切除標本の左肺S1+2とS6には,ともに広範囲に病巣がみられ,病理診断は肺原発MALTリンパ腫であった.術後1カ月目から,当院血液内科にて再発予防のためリツキシマブ単独療法が施行され,術後7カ月現在,再発なく経過している.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1906