ショックを呈した胆囊出血の1例

患者は,83歳男性。心窩部から下腹部の間欠痛が出現し,近医受診した。急性胆囊炎・胆管炎の診断で当院へ紹介受診した。CTで胆石性胆囊炎の所見と,総胆管内の胆泥が疑われた。吐血したため,上部消化管内視鏡検査を行ったところ,十二指腸下行脚に鮮紅色の凝固血を認め,検査後にはショックとなった。輸血によりショック状態を離脱後,造影CTで胆囊動脈の仮性動脈瘤破裂を指摘されたため,緊急手術を施行した。先に胆囊動脈の結紮を予定していたが,カロー三角領域の炎症性癒着が高度であったため,胆囊を切開して,拍動性の出血点を縫合止血し,胆囊摘出を行った。また,総胆管を切開し,検索したところ小結石も認めた。病理組織検査では...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 6; pp. 803 - 806
Main Authors 豊崎, 良一, 池田, 直隆, 上村, 真弓, 大山, 智宏, 北薗, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2020
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Summary:患者は,83歳男性。心窩部から下腹部の間欠痛が出現し,近医受診した。急性胆囊炎・胆管炎の診断で当院へ紹介受診した。CTで胆石性胆囊炎の所見と,総胆管内の胆泥が疑われた。吐血したため,上部消化管内視鏡検査を行ったところ,十二指腸下行脚に鮮紅色の凝固血を認め,検査後にはショックとなった。輸血によりショック状態を離脱後,造影CTで胆囊動脈の仮性動脈瘤破裂を指摘されたため,緊急手術を施行した。先に胆囊動脈の結紮を予定していたが,カロー三角領域の炎症性癒着が高度であったため,胆囊を切開して,拍動性の出血点を縫合止血し,胆囊摘出を行った。また,総胆管を切開し,検索したところ小結石も認めた。病理組織検査では,慢性胆囊炎の急性増悪と診断され,限局性潰瘍底に破綻した粥状動脈硬化性の変化のある小動脈を認めた。今回われわれは,ショックを呈した胆囊出血を経験したので,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.803