CTを用いた乳癌患者における脂肪評価 閉経前後による比較

乳癌は現在,日本人女性の癌の中で最も罹患率が高い癌である。そのため,乳癌の予防,早期発見につながる研究は重要である。そして,肥満と乳癌の関係が数多く報告されている。さらに,肥満の影響は閉経前後によって違いがあることが報告されている。そこで本研究では,乳癌患者において,閉経前後で脂肪の蓄積に違いがあるか検討を行った。脂肪の測定は,臍位置のCT画像を用い,全体脂肪面積・内臓脂肪面積・皮下脂肪面積の測定を行った。症例数は,乳癌患者63例(閉経前21例,閉経後42例),その他疾患患者73例(閉経前31例,閉経後42例),合計136例である。結果は,閉経後乳癌患者は有意に脂肪量が多いという結果であった。...

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Published in日本乳癌検診学会誌 Vol. 20; no. 1; pp. 48 - 52
Main Authors 佐藤, 正規, 小倉, 敏裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会 20.03.2011
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Summary:乳癌は現在,日本人女性の癌の中で最も罹患率が高い癌である。そのため,乳癌の予防,早期発見につながる研究は重要である。そして,肥満と乳癌の関係が数多く報告されている。さらに,肥満の影響は閉経前後によって違いがあることが報告されている。そこで本研究では,乳癌患者において,閉経前後で脂肪の蓄積に違いがあるか検討を行った。脂肪の測定は,臍位置のCT画像を用い,全体脂肪面積・内臓脂肪面積・皮下脂肪面積の測定を行った。症例数は,乳癌患者63例(閉経前21例,閉経後42例),その他疾患患者73例(閉経前31例,閉経後42例),合計136例である。結果は,閉経後乳癌患者は有意に脂肪量が多いという結果であった。この原因としては,エストロゲンの作用が大きく関わっている可能性があると推察できる。本研究から,閉経後の女性において脂肪の蓄積は乳癌のリスクを高める可能性を示唆する結果であった。
ISSN:0918-0729
1882-6873
DOI:10.3804/jjabcs.20.48