急性腹症を呈した真性腸石を伴うMeckel憩室穿孔の1例

症例は39歳,男性.心窩部痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.急性胃腸炎と診断し,保存的加療を開始したが症状の増悪を認めたため,第2病日に腹部CTを撮像したところ,腸石を伴ったMeckel憩室の穿孔が疑われ緊急手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,混濁した腹水の貯留および小腸の周囲組織との癒着を認めた.癒着剥離後,小腸を体外へ授動したところ,回盲弁より口側約100cmの位置に腸間膜対側に穿孔した憩室を認め,Meckel憩室と考えられた.憩室は4cm大であり小腸への炎症波及も認められたことから,憩室を含む小腸部分切除を施行した.病理組織学的には憩室粘膜に異所性組織を認めなかったが,摘出した憩...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 11; pp. 1983 - 1988
Main Authors 佐藤, 和秀, 良元, 和久, 柏木, 秀幸, 坪井, 一人, 梶本, 徹也, 植田, 豊作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1983

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Summary:症例は39歳,男性.心窩部痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.急性胃腸炎と診断し,保存的加療を開始したが症状の増悪を認めたため,第2病日に腹部CTを撮像したところ,腸石を伴ったMeckel憩室の穿孔が疑われ緊急手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,混濁した腹水の貯留および小腸の周囲組織との癒着を認めた.癒着剥離後,小腸を体外へ授動したところ,回盲弁より口側約100cmの位置に腸間膜対側に穿孔した憩室を認め,Meckel憩室と考えられた.憩室は4cm大であり小腸への炎症波及も認められたことから,憩室を含む小腸部分切除を施行した.病理組織学的には憩室粘膜に異所性組織を認めなかったが,摘出した憩室内には約2cm大の腸石を2個認め,成分分析の結果,シュウ酸カルシウム結石であった.真性腸石を伴ったMeckel憩室の穿孔例は極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1983