Upside Down Stomachを呈した食道裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡下修復術を施行した1例

症例は86歳の女性。以前より頻回の食後の心窩部痛あり,症状が増悪したため当院救急外来を受診した。胸腹部CT検査で食道胃接合部より頭側に胃が位置するupside down stomach型の食道裂孔ヘルニアと診断し,緊急入院となった。黒色の吐物があったため上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃体部の粘膜の虚血性所見が認められた。内視鏡による整復を試みたが胃の変形が強く困難であり腹腔鏡下手術を施行した。胃を腹腔内に還納し,開大した食道裂孔を縫縮閉鎖した後に,穹窿部と横隔膜下を縫合固定し,さらにToupet噴門形成術を施行した。経過は順調で再発は認めていない。今回われわれはupside down...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 571 - 574
Main Authors 鈴村, 潔, 河野, 秀俊, 寺崎, 正起
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.571

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Summary:症例は86歳の女性。以前より頻回の食後の心窩部痛あり,症状が増悪したため当院救急外来を受診した。胸腹部CT検査で食道胃接合部より頭側に胃が位置するupside down stomach型の食道裂孔ヘルニアと診断し,緊急入院となった。黒色の吐物があったため上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃体部の粘膜の虚血性所見が認められた。内視鏡による整復を試みたが胃の変形が強く困難であり腹腔鏡下手術を施行した。胃を腹腔内に還納し,開大した食道裂孔を縫縮閉鎖した後に,穹窿部と横隔膜下を縫合固定し,さらにToupet噴門形成術を施行した。経過は順調で再発は認めていない。今回われわれはupside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡下修復術を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.571