A-11. 当院で最近経験した慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH) 症例

症例1:78歳女性, 主訴, 労作時呼吸困難, 現病歴, 2012年初旬より階段昇降時の呼吸困難を自覚, 夏からは500m程度の歩行で呼吸困難が出現するようになった. 2012年12月, 感冒で近医を受診した際, 胸部レントゲン写真で両側肺動脈の拡大を指摘され, 当院に紹介となった. 心エコー検査で推定右室圧の上昇を認め, 肺血流シンチグラフィーで右上葉・中葉優位に血流低下を認めた. 造影CT検査では肺動脈中枢側から肺動脈内血栓を認めた. 右心カテーテル検査で平均肺動脈圧47mmHgと高値であり, 中枢型のCTEPHと診断し, 2013年5月28日, 血栓内膜摘除術を施行した. その後, 自覚...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 7; p. 979
Main Authors 宮崎, 俊一, 平野, 豊, 金田, 敏夫, 佐賀, 俊彦, 植木, 博之, 西野, 貴子, 谷口, 貢, 上野, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.979

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Summary:症例1:78歳女性, 主訴, 労作時呼吸困難, 現病歴, 2012年初旬より階段昇降時の呼吸困難を自覚, 夏からは500m程度の歩行で呼吸困難が出現するようになった. 2012年12月, 感冒で近医を受診した際, 胸部レントゲン写真で両側肺動脈の拡大を指摘され, 当院に紹介となった. 心エコー検査で推定右室圧の上昇を認め, 肺血流シンチグラフィーで右上葉・中葉優位に血流低下を認めた. 造影CT検査では肺動脈中枢側から肺動脈内血栓を認めた. 右心カテーテル検査で平均肺動脈圧47mmHgと高値であり, 中枢型のCTEPHと診断し, 2013年5月28日, 血栓内膜摘除術を施行した. その後, 自覚症状の改善を認めている. 症例2:41歳女性, 主訴, 労作時呼吸困難, 現病歴, 2011年11月突然の呼吸困難で近医に救急搬送. 急性肺血栓塞栓症と診断され抗凝固療法を受けた. その後, しばらく抗凝固療法を中止していた. 労作時呼吸困難が増悪し, 2013年3月, 近医を受診. 心エコー検査で推定右室圧が90mmHg程度と高値であり, 精査目的で当院に紹介となった. 造影CT検査では左主肺動脈の閉塞と右主肺動脈から末梢に壁在血栓あり. 右心カテーテル検査では平均肺動脈圧は52mmHgと高値であった. 中枢型のCTEPHと診断し, 今後, 手術予定である. 症例3:65歳男性, 主訴, 労作時呼吸困難, 現病歴, 肺気腫で当院通院中. 2, 3年前から呼吸困難を自覚していた. 肺機能検査に大きな変化はないものの, 半年前から呼吸困難の増悪を認め, 心エコー検査の結果, 推定右室圧が70mmHgと高値であり, 当科に紹介となった. 造影CT検査で肺動脈内に血栓を認め, 右心カテーテル検査では平均肺動脈圧は40mmHgと高値であった. 上記3症例の中で, 症例2のみ急性肺塞栓症の既往があり, 症例1, 3は徐々に呼吸困難の増悪を認めた. CTEPH発症様式の違う3症例のデータを示し, 比較検討する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.979