乳糜腹水を伴う絞扼性腸閉塞の2例

乳糜腹水を伴う絞扼性腸閉塞は非常に稀な病態であり,今回われわれはその2例を経験したので報告する.1例目は直腸癌および絞扼性腸閉塞に対して手術歴がある98歳,男性.右側腹部痛と嘔吐を認めたため当院へ救急搬送され,絞扼性腸閉塞の診断で緊急開腹術を施行した.臍部頭側に索状物を認め,約80cmの小腸が絞扼されていた.絞扼腸管の漿膜面・腸間膜が白くリンパが浮き出ており,周囲には無臭で桃白色混濁した腹水を認めた.2例目は89歳,男性.数日前からの嘔気と食事摂取不良を訴え当院を受診し,絞扼性腸閉塞の診断で緊急開腹術を施行した.Treiz靱帯から肛門側の全小腸が反時計回りに約360度捻転し,絞扼していた.腸間...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 11; pp. 1999 - 2005
Main Authors 清田, 誠志, 江田, 将樹, 谷村, 卓哉, 葛城, 邦浩, 稲津, 大輝, 橋場, 亮弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1999

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Summary:乳糜腹水を伴う絞扼性腸閉塞は非常に稀な病態であり,今回われわれはその2例を経験したので報告する.1例目は直腸癌および絞扼性腸閉塞に対して手術歴がある98歳,男性.右側腹部痛と嘔吐を認めたため当院へ救急搬送され,絞扼性腸閉塞の診断で緊急開腹術を施行した.臍部頭側に索状物を認め,約80cmの小腸が絞扼されていた.絞扼腸管の漿膜面・腸間膜が白くリンパが浮き出ており,周囲には無臭で桃白色混濁した腹水を認めた.2例目は89歳,男性.数日前からの嘔気と食事摂取不良を訴え当院を受診し,絞扼性腸閉塞の診断で緊急開腹術を施行した.Treiz靱帯から肛門側の全小腸が反時計回りに約360度捻転し,絞扼していた.腸間膜は一部白色でリンパ管が浮き出ており,無臭で黄白色混濁した腹水を多量に認めた.2例とも,壊死を疑う腸管を認めなったため腸管切除を行わず手術を終了し,術後経過は良好であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1999