子宮平滑筋肉腫乳房転移の1例

症例は58歳,女性.子宮平滑筋肉腫術後2年で骨転移を認めた.その際に,右乳房に3mmの腫瘤を認めた.骨転移に対する治療後のCTにて増大を指摘され,当科を紹介受診となった.マンモグラフィでは右乳房C領域に境界明瞭の円形腫瘤を認め,乳房超音波検査では右Cの乳腺後隙に近くに6mmの比較的境界明瞭な円形腫瘤を認めた.以前のCTより増大傾向であり,確定診断のために針生検による組織診を行った結果,子宮平滑筋肉腫の乳房転移と診断された.その後,当院婦人科にてドキシルビシン単剤による化学療法を開始し,現在継続中である.乳房以外の臓器からの乳房転移は全乳房悪性腫瘍の0.5~2.0%程度と報告されており,まれな病...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 11; pp. 1895 - 1899
Main Authors 森永, 暢浩, 緒方, 杏一, 森下, 亜希子, 和田, 渉, 木村, 明春, 加藤, 広行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.1895

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Summary:症例は58歳,女性.子宮平滑筋肉腫術後2年で骨転移を認めた.その際に,右乳房に3mmの腫瘤を認めた.骨転移に対する治療後のCTにて増大を指摘され,当科を紹介受診となった.マンモグラフィでは右乳房C領域に境界明瞭の円形腫瘤を認め,乳房超音波検査では右Cの乳腺後隙に近くに6mmの比較的境界明瞭な円形腫瘤を認めた.以前のCTより増大傾向であり,確定診断のために針生検による組織診を行った結果,子宮平滑筋肉腫の乳房転移と診断された.その後,当院婦人科にてドキシルビシン単剤による化学療法を開始し,現在継続中である.乳房以外の臓器からの乳房転移は全乳房悪性腫瘍の0.5~2.0%程度と報告されており,まれな病態であり特徴的な画像所見はなく,原発性乳癌や良性病変との鑑別は難しい.悪性疾患の既往がある症例に乳房に腫瘤と認めた場合は,乳房転移の可能性を念頭に置く必要があり,確定診断を行う必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1895