乳癌術後の傍腫瘍性神経症候群による脊髄炎の1例
症例は54歳の女性で,右乳癌の診断で右乳房切除術+腋窩リンパ節郭清(Level II郭清)を施行した.Invasive ductal carcinoma,solid typeと診断された.ER(-),PgR(-),HER2(0), MIB-1 labeling indexは90%以上で,T2,N0,M0,stage IIAであった.術後4週間目の外来通院時に,嘔吐と両上肢のしびれ・脱力感の訴えがあった.手術以外の原因が考えられたため,脳神経内科に紹介した.抗Zic4抗体が陽性であり,傍腫瘍性神経症候群による脊髄炎と診断された.入院しステロイドパルス療法が開始され,徐々に神経学的所見が改善し,約...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 11; pp. 1961 - 1969 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2021
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.82.1961 |
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Summary: | 症例は54歳の女性で,右乳癌の診断で右乳房切除術+腋窩リンパ節郭清(Level II郭清)を施行した.Invasive ductal carcinoma,solid typeと診断された.ER(-),PgR(-),HER2(0), MIB-1 labeling indexは90%以上で,T2,N0,M0,stage IIAであった.術後4週間目の外来通院時に,嘔吐と両上肢のしびれ・脱力感の訴えがあった.手術以外の原因が考えられたため,脳神経内科に紹介した.抗Zic4抗体が陽性であり,傍腫瘍性神経症候群による脊髄炎と診断された.入院しステロイドパルス療法が開始され,徐々に神経学的所見が改善し,約1カ月後に退院した.その後プレドニンは漸減され,10カ月後には終了となった.術後5カ月目より補助化学療法を施行した.術後1年経過したが再発・転移は認めていない.傍腫瘍性神経症候群は速やかな診断と治療が必要である.術後に原因不明の神経症状などを訴えた場合は,傍腫瘍性神経症候群の可能性も考慮しなければならない. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.82.1961 |