味覚減退患者における自覚と味覚閾値との関連性についての検討

今回我々は,味覚異常の訴えとして最頻の味覚減退のみを訴えた38症例(男性20症例,女性18症例)に対し,味覚閾値と味覚減退という自覚との関連性について検討した。検査項目として血液検査(亜鉛,鉄,銅)唾液分泌量検査,細菌検査,味覚検査として濾紙ディスク法検査,全口腔法を行った。味覚減退患者の臨床所見としては血清値の中央値は血清亜鉛70.7μg/dl,鉄91.5μg/dl,銅101.5μg/dl,随伴症状として舌痛症21.9%,口腔乾燥症38.3%,口腔カンジダ症32.7%であった。味覚減退のみを訴えた38症例中,全味質が分かりにくいと答えた者を全味質低下群,特定の味質のみが分かりにくいと答えた者...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本口腔内科学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 63 - 68
Main Authors 井上, 千恵子, 野口, 忠秀, 若林, 宣江, 神部, 芳則, 森, 良之, 山崎, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔内科学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2186-6147
2186-6155
DOI10.6014/jjsom.23.63

Cover

More Information
Summary:今回我々は,味覚異常の訴えとして最頻の味覚減退のみを訴えた38症例(男性20症例,女性18症例)に対し,味覚閾値と味覚減退という自覚との関連性について検討した。検査項目として血液検査(亜鉛,鉄,銅)唾液分泌量検査,細菌検査,味覚検査として濾紙ディスク法検査,全口腔法を行った。味覚減退患者の臨床所見としては血清値の中央値は血清亜鉛70.7μg/dl,鉄91.5μg/dl,銅101.5μg/dl,随伴症状として舌痛症21.9%,口腔乾燥症38.3%,口腔カンジダ症32.7%であった。味覚減退のみを訴えた38症例中,全味質が分かりにくいと答えた者を全味質低下群,特定の味質のみが分かりにくいと答えた者を特定味質低下群とした。全味質低下群においては,全口腔法で全味質の閾値が上昇している症例は1症例のみで,特定味質低下群においては,塩味の味覚減退症例と塩味閾値の上昇は一致している症例が多かった。また酸味閾値の上昇は自覚として認知されにくい味質であることが示唆された。
ISSN:2186-6147
2186-6155
DOI:10.6014/jjsom.23.63