空腸血管腫からの出血と鑑別を要した最重症再生不良性貧血に合併したMeckel憩室出血の1手術例

症例は40歳台女性。当院血液内科において最重症再生不良性貧血に対する免疫抑制療法中に下血を発症した。腹部造影CT検査,上下部消化管内視鏡検査で出血部位を認めず,経口小腸内視鏡検査で空腸に血管腫様の病変あり出血源として疑われたが,検査時には出血なく保存的治療の方針となった。その後再度下血を認め手術目的に当科紹介となった。腹腔鏡下に小腸全長を観察すると,回腸末端から約50cm口側に位置するMeckel憩室を認めた。小開腹後,小腸壁を切開し施行した術中内視鏡所見から,出血源はMeckel憩室と判断し,腹腔鏡補助下小腸部分切除を施行した。術後は良好に経過し,臍帯血移植後に自宅退院となった。再生不良性貧...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 567 - 570
Main Authors 渡辺, 和宏, 大沼, 忍, 唐澤, 秀明, 市川, 英孝, 神山, 篤史, 亀井, 尚, 海野, 倫明, 藤島, 史喜, 鈴木, 秀幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.567

Cover

More Information
Summary:症例は40歳台女性。当院血液内科において最重症再生不良性貧血に対する免疫抑制療法中に下血を発症した。腹部造影CT検査,上下部消化管内視鏡検査で出血部位を認めず,経口小腸内視鏡検査で空腸に血管腫様の病変あり出血源として疑われたが,検査時には出血なく保存的治療の方針となった。その後再度下血を認め手術目的に当科紹介となった。腹腔鏡下に小腸全長を観察すると,回腸末端から約50cm口側に位置するMeckel憩室を認めた。小開腹後,小腸壁を切開し施行した術中内視鏡所見から,出血源はMeckel憩室と判断し,腹腔鏡補助下小腸部分切除を施行した。術後は良好に経過し,臍帯血移植後に自宅退院となった。再生不良性貧血合併例の手術では,貧血・易感染性・出血傾向などが問題となり,さらに治療中は免疫抑制状態のため,手術施行は躊躇される。今回,腹腔鏡下に準緊急手術を行い良好な経過を得たため,文献的考察を含めて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.567