小腸出血の出血点の存在範囲の口側端限定に腹腔鏡を用いた小腸Dieulafoy潰瘍の1切除例

小腸出血は比較的まれな疾患であり,血管造影や造影CTで診断されるが,出血点同定は困難で,大量小腸切除や出血点残存となることもある。今回,腹腔鏡下手術とすることで,小腸の牽引操作前に出血部位を含む範囲の口側端を設定し,切除範囲を限定し得た1例を経験したので報告する。症例は82歳女性,下血を主訴に当院へ救急搬送された。大量下血によりショック状態,貧血(Hb 5.7g/dL)となっていた。緊急造影CTでは回腸に造影剤の血管外漏出像を認め,小腸出血と診断し緊急手術を施行した。まず腹腔鏡下に,出血によって内腔に貯留した血液が腸管外から視認できる口側端を小腸切除口側断端としてマーキング施行。小切開創から小...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 547 - 550
Main Authors 阪本, 達也, 栗山, 直久, 加藤, 弘幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2020
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Summary:小腸出血は比較的まれな疾患であり,血管造影や造影CTで診断されるが,出血点同定は困難で,大量小腸切除や出血点残存となることもある。今回,腹腔鏡下手術とすることで,小腸の牽引操作前に出血部位を含む範囲の口側端を設定し,切除範囲を限定し得た1例を経験したので報告する。症例は82歳女性,下血を主訴に当院へ救急搬送された。大量下血によりショック状態,貧血(Hb 5.7g/dL)となっていた。緊急造影CTでは回腸に造影剤の血管外漏出像を認め,小腸出血と診断し緊急手術を施行した。まず腹腔鏡下に,出血によって内腔に貯留した血液が腸管外から視認できる口側端を小腸切除口側断端としてマーキング施行。小切開創から小腸を体外に誘導し,拡張が強い70cmの小腸を切除,肛門側切除断端からさらに10cm肛門側に小結節を触知したため追加切除を施行し,循環の安定化を確認し手術を終了した。結節部にDieulafoy潰瘍を認めた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.547