発症早期に手術し得た特発性小腸穿孔の1例

症例は51歳男性,突然の下腹部痛を自覚し,救急搬送された。下腹部全体に圧痛を認めるも腹膜刺激症状は。腹部CTで小腸壁の肥厚と拡張,Douglas窩に少量の腹水を認めた。経過観察入院後腹痛が増強し,入院6時間後にCT検査を再度施行すると,腹水増加と腹腔内遊離ガスを認めた。消化管穿孔と診断し,来院6時間後に緊急手術を施行した。Treitz靭帯から約20cmの空腸に約6mmの明瞭な穿孔部を認め,穿孔部を含む小腸部分切除術を施行した。切除標本では,punched out状の穿孔部を認めるも,それ以外は異常所見を認めなかった。病理組織所見では,小腸壁は全層断裂していたが,肉芽組織や線維化などは認めず,特...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 38; no. 3; pp. 537 - 541
Main Authors 草深, 智樹, 大森, 隆夫, 濱田, 賢司, 田岡, 大樹, 金兒, 博司, 服部, 可奈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2018
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.537

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Summary:症例は51歳男性,突然の下腹部痛を自覚し,救急搬送された。下腹部全体に圧痛を認めるも腹膜刺激症状は。腹部CTで小腸壁の肥厚と拡張,Douglas窩に少量の腹水を認めた。経過観察入院後腹痛が増強し,入院6時間後にCT検査を再度施行すると,腹水増加と腹腔内遊離ガスを認めた。消化管穿孔と診断し,来院6時間後に緊急手術を施行した。Treitz靭帯から約20cmの空腸に約6mmの明瞭な穿孔部を認め,穿孔部を含む小腸部分切除術を施行した。切除標本では,punched out状の穿孔部を認めるも,それ以外は異常所見を認めなかった。病理組織所見では,小腸壁は全層断裂していたが,肉芽組織や線維化などは認めず,特発性小腸穿孔と診断した。経過は良好で術後10日目に退院した。小腸穿孔は,発症初期には腹痛以外に異常を認めないこともあるため,慎重な経過観察と再検査が必要であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.537