外転神経麻痺とHorner症候群から発見された上咽頭癌の1例
44歳女性.左眼瞼下垂と複視を自覚し,初診.初診時の瞼裂高は左右差なく,左眼内斜視,外転制限がみられた.対光反射は異常.5日後に左顔面の痛みを自覚し再診.暗所で著明な瞳孔不同(R>L)と左眼の軽度瞼裂狭小がみられ,左外転神経麻痺,Horner症候群および三叉神経痛が疑われた.造影MRIとMRA施行し,左内頸動脈海綿静脈洞廔が疑われ,DSAを施行したがシャント所見はなく,眼窩部MRIを再施行し上咽頭癌が疑われた.FDG-PETにて左蝶形骨洞背側縁にFDG集積がみられ,生検にて上咽頭癌と診断された.外転神経麻痺とHorner症候群の合併では海綿静脈洞後方病変を疑い,上咽頭腫瘍も念頭に置き,MRI撮...
Saved in:
Published in | 神経眼科 Vol. 38; no. 1; pp. 14 - 19 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経眼科学会
25.03.2021
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-7024 2188-2002 |
DOI | 10.11476/shinkeiganka.38.14 |
Cover
Summary: | 44歳女性.左眼瞼下垂と複視を自覚し,初診.初診時の瞼裂高は左右差なく,左眼内斜視,外転制限がみられた.対光反射は異常.5日後に左顔面の痛みを自覚し再診.暗所で著明な瞳孔不同(R>L)と左眼の軽度瞼裂狭小がみられ,左外転神経麻痺,Horner症候群および三叉神経痛が疑われた.造影MRIとMRA施行し,左内頸動脈海綿静脈洞廔が疑われ,DSAを施行したがシャント所見はなく,眼窩部MRIを再施行し上咽頭癌が疑われた.FDG-PETにて左蝶形骨洞背側縁にFDG集積がみられ,生検にて上咽頭癌と診断された.外転神経麻痺とHorner症候群の合併では海綿静脈洞後方病変を疑い,上咽頭腫瘍も念頭に置き,MRI撮影時には上咽頭を十分含み冠状断が必要である. |
---|---|
ISSN: | 0289-7024 2188-2002 |
DOI: | 10.11476/shinkeiganka.38.14 |