地域の病院・地域包括ケア病棟における認知症患者の看取り

今後,高齢化社会がさらに加速し,多死社会がやってくる。医療はさらに高度化し,診断技術,治療技術,治療機器,治療薬なども発達し,治療可能な疾患・病態が増え,治療適応の範囲も広がってくる。患者さんおよびその家族の要望は,「できることは何でもやってほしい」から「もうそこまでしなくて良い」まで様々であるが,実施可能な治療・介入方法が存在する中で,どこまでの介入で折り合いをつけるのが最良かを判断するのは難しく,特に「死」が絡んでくる場合には非常に悩ましい。医療が進化し寿命が延びるにつれ,認知症または認知機能の低下している方も徐々に増加してくるのは明らかであり,その方々の治療から看取りまでどのような対応が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療と社会 Vol. 33; no. 1; pp. 67 - 77
Main Author 水野, 裕元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 医療科学研究所 29.05.2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-9202
1883-4477
DOI10.4091/iken.33-67

Cover

More Information
Summary:今後,高齢化社会がさらに加速し,多死社会がやってくる。医療はさらに高度化し,診断技術,治療技術,治療機器,治療薬なども発達し,治療可能な疾患・病態が増え,治療適応の範囲も広がってくる。患者さんおよびその家族の要望は,「できることは何でもやってほしい」から「もうそこまでしなくて良い」まで様々であるが,実施可能な治療・介入方法が存在する中で,どこまでの介入で折り合いをつけるのが最良かを判断するのは難しく,特に「死」が絡んでくる場合には非常に悩ましい。医療が進化し寿命が延びるにつれ,認知症または認知機能の低下している方も徐々に増加してくるのは明らかであり,その方々の治療から看取りまでどのような対応が選択されるべきで,何が最良の対応なのであろうか。「病院」はその機能から,高度急性期,急性期,回復期(回復期リハビリテーション,地域包括ケア),慢性期・療養型,に分かれている。そして外来診療の中には,在宅訪問診療がある。さらに病院とは別に施設として,特別養護老人ホーム,介護老人保健施設,サービス付き高齢者住宅,老人ホーム,グループホームなどがある。それぞれの所でそれぞれの機能に応じた様々な対応がなされており,それぞれ判断に悩まれ,工夫をされていると思う。死亡診断の際の死因についても,「病死」なのか「自然死」なのか「老衰死」なのか,判断に迷われていると思う。ここでは,上述の回復期に当たる病院である地域包括ケア病棟での取り組みとして,当院での認知症患者の「看取り」の現状を報告する。判断材料の一助となれば幸いである。
ISSN:0916-9202
1883-4477
DOI:10.4091/iken.33-67