高度な眼窩炎症と髄膜炎を併発した眼部帯状疱疹の1例
眼部帯状疱疹に高度な眼窩炎症と髄膜炎を併発し,重篤な視機能障害を残した症例を経験した.症例は72歳,女性.左眼痛と嘔気を自覚するも前医にて異常認めなかったが症状増悪し,1週間後に当科受診した.左眼瞼下垂,瞳孔不同,上眼瞼腫脹,結膜浮腫および点状角膜炎を認め,3日後に左三叉神経第一枝領域に皮疹が出現し帯状疱疹と診断された.持続する高熱と髄液検査にてウイルス性髄膜炎と診断された.アシクロビル点滴を開始し皮疹は改善したが,左視力は光覚弁に低下し,高度な眼内炎症と全眼筋麻痺を認めた.MRIでは左視神経および視神経鞘,外眼筋,強膜,眼球後方軟部組織に強い炎症性変化を認めた.ウイルス性髄膜炎による所見が改...
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Published in | 神経眼科 Vol. 37; no. 1; pp. 38 - 44 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経眼科学会
25.03.2020
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Summary: | 眼部帯状疱疹に高度な眼窩炎症と髄膜炎を併発し,重篤な視機能障害を残した症例を経験した.症例は72歳,女性.左眼痛と嘔気を自覚するも前医にて異常認めなかったが症状増悪し,1週間後に当科受診した.左眼瞼下垂,瞳孔不同,上眼瞼腫脹,結膜浮腫および点状角膜炎を認め,3日後に左三叉神経第一枝領域に皮疹が出現し帯状疱疹と診断された.持続する高熱と髄液検査にてウイルス性髄膜炎と診断された.アシクロビル点滴を開始し皮疹は改善したが,左視力は光覚弁に低下し,高度な眼内炎症と全眼筋麻痺を認めた.MRIでは左視神経および視神経鞘,外眼筋,強膜,眼球後方軟部組織に強い炎症性変化を認めた.ウイルス性髄膜炎による所見が改善した後,プレドニゾロン60 mgからの漸減療法を開始し,左眼窩炎症は改善したが,眼球運動は部分改善にとどまり,眼瞼下垂は改善しなかった.最終的に左眼は眼球瘻に陥った.本症例は,眼症状が皮疹に先行したため,帯状疱疹の治療が遅れた.その後,抗ウイルス薬,ステロイド薬の併用療法を開始したにも関わらず,重篤な視機能障害を残した.高度な眼窩炎症を伴う眼部帯状疱疹に対しては,更に早期のステロイド大量投与が必要かもしれない. |
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ISSN: | 0289-7024 2188-2002 |
DOI: | 10.11476/shinkeiganka.37.38 |