トリアムシノロン皮下注射後に生じた示指伸筋腱脱臼に対しMichon&Vichard法による再建を施行した一例

ばね指や腱鞘炎の治療として懸濁性トリアムシノロン(以下TA)の腱鞘内注射が広く用いられているが合併症も多く報告されている.今回,TA注射に起因すると思われる指伸筋腱脱臼を経験したので報告する.症例は40歳女性.5年前より特に誘因なく右示指MP関節の疼痛が出現し,近医で同部へのTA皮下注射を3-4か月ごとに計10回程度施行された.2年前から伸筋腱尺側脱臼と疼痛の増悪を認めたが,同部への注射が継続された.疼痛が持続したため当院へ紹介された.注射部位の皮膚は菲薄・色素脱失および発赤を認め,皮膚の状態が改善するまで6か月間経過観察したのちに手術を行った.手術はリストブロック下にMichon & Vic...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 3; pp. 674 - 676
Main Authors 喜屋武, 諒子, 仲宗根, 素子, 米田, 晋, 西田, 康太郎, 大久保, 宏貴, 金城, 政樹, 竹内, 寛人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.73.674

Cover

More Information
Summary:ばね指や腱鞘炎の治療として懸濁性トリアムシノロン(以下TA)の腱鞘内注射が広く用いられているが合併症も多く報告されている.今回,TA注射に起因すると思われる指伸筋腱脱臼を経験したので報告する.症例は40歳女性.5年前より特に誘因なく右示指MP関節の疼痛が出現し,近医で同部へのTA皮下注射を3-4か月ごとに計10回程度施行された.2年前から伸筋腱尺側脱臼と疼痛の増悪を認めたが,同部への注射が継続された.疼痛が持続したため当院へ紹介された.注射部位の皮膚は菲薄・色素脱失および発赤を認め,皮膚の状態が改善するまで6か月間経過観察したのちに手術を行った.手術はリストブロック下にMichon & Vichard法に準じて総指伸筋腱の遠位茎橈側半裁腱を利用して矢状索を再建した.術後2週伸展位固定の後に自動可動域訓練を開始した.術後6か月で再脱臼なく,疼痛は改善した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.73.674