ダビガトランによる著明な凝固障害を合併した腸管壊死に対して手術と集学的治療を行い救命した1例

症例は73歳,女性。腹痛を主訴に救急搬送され,広範囲腸管壊死と診断されたが内服していたダビガトランにより著明な凝固障害をきたしていた。緊急手術により壊死腸管切除およびハルトマン手術を施行したが,凝固障害遷延により術後出血が2日間継続した。最終的に止血が得られ,第45病日に転院となった。ダビガトランは一部の症例では血中濃度が上昇し,出血性合併症のリスクが高まるとされているが,拮抗薬投与や血液浄化療法などにより病態改善が図れる可能性があり,腹部救急に携わる医師は対処法を熟知しておく必要がある。...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 581 - 584
Main Authors 石毛, 孔明, 森嶋, 友一, 福冨, 聡, 小倉, 皓一郎, 里見, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.581

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Summary:症例は73歳,女性。腹痛を主訴に救急搬送され,広範囲腸管壊死と診断されたが内服していたダビガトランにより著明な凝固障害をきたしていた。緊急手術により壊死腸管切除およびハルトマン手術を施行したが,凝固障害遷延により術後出血が2日間継続した。最終的に止血が得られ,第45病日に転院となった。ダビガトランは一部の症例では血中濃度が上昇し,出血性合併症のリスクが高まるとされているが,拮抗薬投与や血液浄化療法などにより病態改善が図れる可能性があり,腹部救急に携わる医師は対処法を熟知しておく必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.581