エルトロンボパグに起因した小腸壊死を伴う門脈・上腸間膜静脈血栓症の1例
症例は80歳,男性.腹痛を主訴に救急搬送された.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)であり,エルトロンボパグ50mgを内服していた.CTで門脈(PV),上腸間膜静脈(SMV)に血栓を認め,腹水,小腸壁の造影不良を伴っていたことから,PV・SMV血栓症による小腸壊死を疑った.血小板数は2万/μlと低値であり,血小板輸血をしながら緊急手術を行った.術中所見で小腸は150cmにわたり壊死しており,小腸切除術を施行した.術後より抗凝固療法を開始したが,血小板は低下傾向であり出血の可能性が危惧された.血小板輸血等を施行したが改善が乏しかったため,入院13日目に脾臓摘出術を施行し,術後速やかに血小板数の上昇...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 12; pp. 2230 - 2234 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2021
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.82.2230 |
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Summary: | 症例は80歳,男性.腹痛を主訴に救急搬送された.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)であり,エルトロンボパグ50mgを内服していた.CTで門脈(PV),上腸間膜静脈(SMV)に血栓を認め,腹水,小腸壁の造影不良を伴っていたことから,PV・SMV血栓症による小腸壊死を疑った.血小板数は2万/μlと低値であり,血小板輸血をしながら緊急手術を行った.術中所見で小腸は150cmにわたり壊死しており,小腸切除術を施行した.術後より抗凝固療法を開始したが,血小板は低下傾向であり出血の可能性が危惧された.血小板輸血等を施行したが改善が乏しかったため,入院13日目に脾臓摘出術を施行し,術後速やかに血小板数の上昇を認めた.入院24日目に腹部CTで血栓の縮小を認め,入院38日目に退院した.エルトロンボパグはPV・SMV血栓症をきたす報告があり,内服中に腹痛を認めた場合は本疾患を考慮する必要がある. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.82.2230 |