当科におけるケロイドおよび肥厚性瘢痕症例の振り返りによる放射線併用手術療法の有用性の検討

ケロイドに対して手術を行っている施設は比較的少ないと思われる。その要因として,再発の懸念,再発時の対処や手術との併用療法についての知識や経験の不足等があげられる。  しかし近年,難治性のケロイドであっても,術中の減張や術後放射線照射に加えて,ステロイド局所投与等を併用した集学的治療により,良好な治療結果が報告されてきた。手術療法の有用性を検討すべく,当科の過去5年間70名のケロイドおよび肥厚性瘢痕患者について,部位や症状などの内訳,治療内容と短期的経過を比較,検討した。放射線併用手術療法を行った群で,JSW Scar Scaleの点数が,術前と術後の比較で有意な改善を認めた。保存療法に抵抗性の...

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Published inJapanese Journal of Surgical Wound Care Vol. 9; no. 3; pp. 81 - 88
Main Authors 近藤, 昭二, 篠田, 充功, 中嶋, 優太, 杠, 俊介, 春日, 航
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本創傷外科学会 2018
Japan Society for Surgical Wound Care
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ISSN1884-880X
DOI10.11310/jsswc.9.81

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Summary:ケロイドに対して手術を行っている施設は比較的少ないと思われる。その要因として,再発の懸念,再発時の対処や手術との併用療法についての知識や経験の不足等があげられる。  しかし近年,難治性のケロイドであっても,術中の減張や術後放射線照射に加えて,ステロイド局所投与等を併用した集学的治療により,良好な治療結果が報告されてきた。手術療法の有用性を検討すべく,当科の過去5年間70名のケロイドおよび肥厚性瘢痕患者について,部位や症状などの内訳,治療内容と短期的経過を比較,検討した。放射線併用手術療法を行った群で,JSW Scar Scaleの点数が,術前と術後の比較で有意な改善を認めた。保存療法に抵抗性のケロイドに対して,放射線併用手術療法は有効な選択肢の1つになると考えられた。同時に,手術を行う際には術中の減張,術後放射線照射,ステロイド剤注射等を併用した集学的治療を行う必要があると考えられた。
ISSN:1884-880X
DOI:10.11310/jsswc.9.81