Peak Expiratory Flow Rateがロコモティブシンドローム重症度に及ぼす影響 -地域中高年女性における横断的検討

【はじめに、目的】ロコモティブシンドローム(ロコモ)は地域高齢者の約7割が該当し、我々は骨粗鬆症外来患者においてロコモの重症度が増すほど転倒に伴う骨折リスクが上昇することを報告した。ロコモは運動器の障害に伴い移動機能の低下をきたした状態であり、筋肉減少症であるサルコペニアもまたロコモの要因である。一方、サルコペニアは呼吸筋を反映するPeak Expiratory Flow Rate(PEFR)との相互関係が報告されており、ロコモの重症度にも影響を及ぼしている可能性がある。本研究ではPEFRとロコモの重症度との関連について検討した。【方法】対象は幸手市の検診に参加し、全項目の測定を実施した60歳...

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Published inJapanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 1.Suppl.No.2; p. 9
Main Authors 湯口, 聡, 加茂, 智彦, 伍賀, 伊織, 旭, 竜馬, 浅見, 正人, 荻原, 啓文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 01.12.2022
Japanese Society of physical therapy for prevention
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ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_9

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Summary:【はじめに、目的】ロコモティブシンドローム(ロコモ)は地域高齢者の約7割が該当し、我々は骨粗鬆症外来患者においてロコモの重症度が増すほど転倒に伴う骨折リスクが上昇することを報告した。ロコモは運動器の障害に伴い移動機能の低下をきたした状態であり、筋肉減少症であるサルコペニアもまたロコモの要因である。一方、サルコペニアは呼吸筋を反映するPeak Expiratory Flow Rate(PEFR)との相互関係が報告されており、ロコモの重症度にも影響を及ぼしている可能性がある。本研究ではPEFRとロコモの重症度との関連について検討した。【方法】対象は幸手市の検診に参加し、全項目の測定を実施した60歳以上の地域在住女性1,256名である。身体障害および要支援・要介護の該当者を本研究より除外した。身体機能測定項目は握力、歩行速度、補正四肢筋肉量(SMI)、peak expiratory flow rate(PEFR)とした。さらにロコモ度テスト(2ステップテスト、立ち上がりテスト、ロコモ25)を実施し、ロコモ非該当、ロコモ度1から2の基準に従い、ロコモの重症度を評価した。PEFRがロコモの重症度に及ぼす影響を明らかにするため年齢およびBody Mass Index(BMI)を含むすべての身体機能測定項目を独立変数とし、非該当群を参照値とした多項ロジスティック回帰分析を実施した。【結果】ロコモ度1およびロコモ度2の該当者はそれぞれ802名(63.9%)、145名(11.5%)であった。非該当群と比較し、ロコモ度1では年齢、BMIが高値、歩行速度、PEFRが有意に低値であった。さらに、ロコモ度2は年齢、BMIが高値であり、握力、歩行速度、PEFRが有意に低かった。ロコモの重症度に関連する因子について検討した結果、ロコモ度1では年齢(odds ratio:1.071、CI:1.037 to 1.105)、BMI(1.176、1.105 to 1.253)、歩行速度(0.085、0.041 to 0.177)、PEFR(0.844、0.752 to 0.947)が抽出された。さらに、ロコモ度2 では年齢(1.084、1.033 to 1.136)、BMI(1.303、1.19 to 1.427)、歩行速度(0.001、0 to 0.004)、PEFR(0.691、0.572 to 0.835)が要因であった。【結論】本研究ではロコモの重症度に及ぼす影響として、年齢、BMI、歩行速度が要因として抽出され、さらにPEFRもまた独立してロコモの重症度に関連することが示唆された。今回、PEFRとロコモの重症度との因果関係は証明できないものの、ロコモの重症化に対して歩行機能だけでなく呼吸機能にも着目していく必要がある。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は日本保健医療大学研究倫理委員会の承認を得て行われた(承認番号P3001)。本研究は自治体が中心となって実施した内容であり、事前に対象者へ説明を行い、書面に同意を得た。
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_9