サルコイドーシスを併存した胃癌の2例

症例1:70歳の女性.貧血による息切れを主訴に受診し,精査の結果,胃前庭部に2型進行癌を認めた.CTで,所属リンパ節だけでなく全身のリンパ節に腫大を認めた.胃癌の多発リンパ節転移も疑われたが,結腸傍リンパ節の術中迅速病理診断を行ったところ,サルコイドーシスの診断となり,開腹幽門側胃切除術を施行した.最終病理診断はpT2N0cM0 Stage IBで,リンパ節は全てサルコイドーシスであった.症例2:75歳の男性.検診で貧血を指摘され,精査の結果,胃前庭部に0-IIa型の早期癌を認めた.胸腹部CTで胃の所属リンパ節に加えて,縦隔リンパ節にも腫大を認めた.術前の全身MRIで胃癌の転移は否定的と判断し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 10; pp. 1618 - 1623
Main Authors 杢野, 泰司, 三浦, 泰智, 大谷, 知之, 松原, 秀雄, 宇治, 誠人, 若尾, 聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.1618

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Summary:症例1:70歳の女性.貧血による息切れを主訴に受診し,精査の結果,胃前庭部に2型進行癌を認めた.CTで,所属リンパ節だけでなく全身のリンパ節に腫大を認めた.胃癌の多発リンパ節転移も疑われたが,結腸傍リンパ節の術中迅速病理診断を行ったところ,サルコイドーシスの診断となり,開腹幽門側胃切除術を施行した.最終病理診断はpT2N0cM0 Stage IBで,リンパ節は全てサルコイドーシスであった.症例2:75歳の男性.検診で貧血を指摘され,精査の結果,胃前庭部に0-IIa型の早期癌を認めた.胸腹部CTで胃の所属リンパ節に加えて,縦隔リンパ節にも腫大を認めた.術前の全身MRIで胃癌の転移は否定的と判断し,腹腔鏡下幽門側胃切除術(D2)を施行した.最終病理診断はpT1bN0cM0 Stage IAで,所属リンパ節にサルコイドーシスを認めた.胃癌に所属リンパ節以外の多発リンパ節腫脹を認めた場合は,サルコイドーシスなどの全身性疾患の併存も念頭に入れ,治療方針を慎重に決める必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1618