Lenvatinib投与中に重篤な膿胸を合併した肝細胞癌肺転移の一剖検例

レンバチニブメシル酸塩(lenvatinib)は進行肝細胞癌(HCC)に対して使用可能となったが,その副作用やマネジメントについては確立されていない.症例は80歳女性で,HCC術後肺転移に対して放射線治療後に再増大を認めたためlenvatinibを投与した.投与開始第54日目に呼吸苦を訴え外来を受診した.血液検査で炎症反応上昇,胸部X線にて右胸水を認め入院となった.胸水穿刺でグラム陽性球菌を認め,膿胸と診断した.胸腔ドレーンを留置・抗菌薬投与にて治療を行った.入院第17病日に呼吸状態の悪化認め,急性呼吸窮迫症候群と診断した.呼吸不全のため第22病日に永眠した.病理解剖では壊死した腫瘍と接して胸...

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Published in肝臓 Vol. 62; no. 1; pp. 17 - 24
Main Authors 阿曽沼, 祥, 下瀬川, 徹, 佐藤, 晃彦, 土井, 耕太郎, 大方, 英樹, 木村, 修, 平本, 圭一郎, 川邉, 誠, 生形, 晃男, 大藤, 高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.01.2021
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.62.17

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Summary:レンバチニブメシル酸塩(lenvatinib)は進行肝細胞癌(HCC)に対して使用可能となったが,その副作用やマネジメントについては確立されていない.症例は80歳女性で,HCC術後肺転移に対して放射線治療後に再増大を認めたためlenvatinibを投与した.投与開始第54日目に呼吸苦を訴え外来を受診した.血液検査で炎症反応上昇,胸部X線にて右胸水を認め入院となった.胸水穿刺でグラム陽性球菌を認め,膿胸と診断した.胸腔ドレーンを留置・抗菌薬投与にて治療を行った.入院第17病日に呼吸状態の悪化認め,急性呼吸窮迫症候群と診断した.呼吸不全のため第22病日に永眠した.病理解剖では壊死した腫瘍と接して胸膜の連続性が断裂しており,抗腫瘍効果により穿破した可能性が示唆された.肝外転移病変に対するlenvatinib投与では,予期せぬ副作用を生じる可能性があることを留意する必要があると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.62.17