ヘパリン起因性血小板減少症II型患者に対し人工心肺を施行した4症例

ヘパリン起因性血小板減少症II型患者に対して, 抗凝固薬としてアルガトロバンを使用した人工心肺を4症例経験した. 人工心肺中のACTは600秒以上を維持できたが, 全例において静脈リザーバーおよびカルディオトミーフィルターで血栓が形成された. 人工心肺施行後のACTは長時間にわたって遷延傾向にあった. 今後, 半閉鎖型人工心肺の使用やアルガトロバン投与量の再検討が必要と考えられた. 「1. はじめに」人工心肺を使用する心臓手術はヘパリンを用いた抗凝固療法の確立が大前提のうえ成立する. しかし, 近年, ヘパリン投与による重篤な副作用としてヘパリン起因性血小板減少症が問題となっている. ヘパリン...

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Published in体外循環技術 Vol. 34; no. 4; pp. 301 - 304
Main Authors 松本, 泰史, 峠崎, 純一, 小川, 浩司, 西垣, 孝行, 西岡, 宏, 吉田, 幸太郎, 林, 輝行, 山崎, 康祥, 木下, 由佳, 四井田, 英樹, 金子, 麻衣, 三谷, 雅美, 定, 亮志, 三木, 梨紗子, 山中, 泰弘, 高橋, 裕三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体外循環技術医学会 2007
日本体外循環技術医学会
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ISSN0912-2664
1884-5452
DOI10.7130/hokkaidoshakai.34.301

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Summary:ヘパリン起因性血小板減少症II型患者に対して, 抗凝固薬としてアルガトロバンを使用した人工心肺を4症例経験した. 人工心肺中のACTは600秒以上を維持できたが, 全例において静脈リザーバーおよびカルディオトミーフィルターで血栓が形成された. 人工心肺施行後のACTは長時間にわたって遷延傾向にあった. 今後, 半閉鎖型人工心肺の使用やアルガトロバン投与量の再検討が必要と考えられた. 「1. はじめに」人工心肺を使用する心臓手術はヘパリンを用いた抗凝固療法の確立が大前提のうえ成立する. しかし, 近年, ヘパリン投与による重篤な副作用としてヘパリン起因性血小板減少症が問題となっている. ヘパリン起因性血小板減少症は, 非免疫的機序のI型と免疫的機序のII型がある. I型では, ヘパリン投与により軽度の血小板減少が起き, 臨床症状や血栓形成がなく, ヘパリン投与を中止することなく回復すると言われている. しかし, II型(以下, HIT)では重篤な血小板減少と致死的血栓塞栓症を併発する1, 2)(表1).
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/hokkaidoshakai.34.301