WHO第5版で新規に提唱されたappendiceal goblet cell adenocarcinomaの1例

症例は85歳,男性.大腸がん検診での便潜血陽性で当院へ紹介となった.虫垂開口部にI型腫瘍を認め,生検で印環細胞癌を疑ったため腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.術後病理診断で虫垂杯細胞カルチノイド(goblet cell carcinoid:以下,GCC)を考えたが,組織学的所見と免疫組織染色所見との不一致に苦慮していた.しかし,これまで神経内分泌腫瘍に軸足を置いてきたGCCをむしろ腺癌側に重点を置いた診断の転換のもとにWHO第5版で新提唱されたappendiceal goblet cell adenocarcinoma(以下,虫垂GCA)ならば,本症例の病態・病理像がよく合致することを知り最...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 6; pp. 1103 - 1108
Main Authors 芳賀, 淳一郎, 東, 孝泰, 千葉, 裕仁, 佐藤, 佳宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.1103

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Summary:症例は85歳,男性.大腸がん検診での便潜血陽性で当院へ紹介となった.虫垂開口部にI型腫瘍を認め,生検で印環細胞癌を疑ったため腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.術後病理診断で虫垂杯細胞カルチノイド(goblet cell carcinoid:以下,GCC)を考えたが,組織学的所見と免疫組織染色所見との不一致に苦慮していた.しかし,これまで神経内分泌腫瘍に軸足を置いてきたGCCをむしろ腺癌側に重点を置いた診断の転換のもとにWHO第5版で新提唱されたappendiceal goblet cell adenocarcinoma(以下,虫垂GCA)ならば,本症例の病態・病理像がよく合致することを知り最終の診断とした.虫垂腫瘍は,虫垂切除を契機に発見されることが比較的多いが,本症例では当初より悪性腫瘍を疑ったため一期的に腹腔鏡下に切除することできた.今回,われわれは非常に稀な原発性虫垂腫瘍に対してWHO第5版から改められた新分類により,虫垂GCAと診断しえた症例の概要を報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1103