口腔顔面領域の慢性疼痛に対してデュロキセチンが著効した2症例

症例の概要:症例1:70歳,女性.下顎左側小臼歯部の頬側歯肉に黒色病変を認めたため,当科で全摘生検術を施行した.術後,軽度のオトガイ神経感覚鈍麻を認め,その後不快な違和感の残存を認め,当科慢性疼痛外来受診となった.症例2:61歳,女性.当科でインプラント周囲炎および顎関節症の治療中に舌の痛みを訴え,当科慢性疼痛外来を受診した.両症例ともに,医療面接を重ねる中で,より心身医学的な対応が必要と判断し,当院メンタルヘルス科口腔心身症外来の受診を勧めた.同外来でミルタザピンやミルナシプランの内服加療を開始した.しかしいずれも著効には至らず,また症例2では副作用を認めたためデュロキセチンへの内服薬変更を...

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Published inJapanese Journal of Orofacial Pain Vol. 8; no. 1; pp. 27 - 32
Main Authors 岡本, 彩子, 桝屋, 二郎, 安田, 卓史, 浜田, 勇人, 近津, 大地, 松尾, 朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔顔面痛学会 2015
Japanese Society of Orofacial Pain
Subjects
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ISSN1883-308X
1882-9333
DOI10.11264/jjop.8.27

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Summary:症例の概要:症例1:70歳,女性.下顎左側小臼歯部の頬側歯肉に黒色病変を認めたため,当科で全摘生検術を施行した.術後,軽度のオトガイ神経感覚鈍麻を認め,その後不快な違和感の残存を認め,当科慢性疼痛外来受診となった.症例2:61歳,女性.当科でインプラント周囲炎および顎関節症の治療中に舌の痛みを訴え,当科慢性疼痛外来を受診した.両症例ともに,医療面接を重ねる中で,より心身医学的な対応が必要と判断し,当院メンタルヘルス科口腔心身症外来の受診を勧めた.同外来でミルタザピンやミルナシプランの内服加療を開始した.しかしいずれも著効には至らず,また症例2では副作用を認めたためデュロキセチンへの内服薬変更を行ったところ,両症例ともに違和感や痛みの症状は軽快した. 考察:これまで口腔顔面領域の慢性疼痛に対して主に三環系抗うつ薬(TCA)が使用されていた.しかし口渇や尿閉,心電図異常などの副作用の点から,より安全な薬剤選択が望まれ,口腔心身症外来でもTCA以外の抗うつ薬を積極的に使用してきた.慢性疼痛ガイドラインを参考にしながらも,副作用に考慮し,患者に合わせた治療が重要であると考えている. 結論:口腔顔面領域の慢性疼痛に対して心身医学的なアプローチを行い,デュロキセチンが有効であった症例を経験したので報告した.
ISSN:1883-308X
1882-9333
DOI:10.11264/jjop.8.27