瘻孔形成により卵管卵巣膿瘍を生じたS状結腸憩室炎の3例

症例1は80歳,女性.嘔吐で受診し,CTでS状結腸と近接した左卵巣に腫大と内部にガス貯留を認めた.注腸で造影剤の腸管外漏出を認め,S状結腸憩室炎による左卵管卵巣膿瘍と診断し,待機的にS状結腸切除,一期的吻合を行った.症例2は65歳,女性.下腹部痛で婦人科を受診した.骨盤腹膜炎の診断で保存加療を行ったが改善せず,CTで腹腔内遊離ガスとS状結腸憩室,右卵巣にガス貯留を伴う膿瘍形成を認めたため,S状結腸憩室炎による結腸穿孔および右卵管卵巣膿瘍と診断し,緊急でHartmann手術と子宮全摘,両側付属器切除術を行った.症例3は76歳,女性.腹痛で受診した.CTで腹腔内遊離ガスとS状結腸と近接した左卵巣に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 6; pp. 1148 - 1152
Main Authors 山本, 祐也, 藤田, 昌久, 石川, 文彦, 新田, 宙, 釜田, 茂幸, 伊藤, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:症例1は80歳,女性.嘔吐で受診し,CTでS状結腸と近接した左卵巣に腫大と内部にガス貯留を認めた.注腸で造影剤の腸管外漏出を認め,S状結腸憩室炎による左卵管卵巣膿瘍と診断し,待機的にS状結腸切除,一期的吻合を行った.症例2は65歳,女性.下腹部痛で婦人科を受診した.骨盤腹膜炎の診断で保存加療を行ったが改善せず,CTで腹腔内遊離ガスとS状結腸憩室,右卵巣にガス貯留を伴う膿瘍形成を認めたため,S状結腸憩室炎による結腸穿孔および右卵管卵巣膿瘍と診断し,緊急でHartmann手術と子宮全摘,両側付属器切除術を行った.症例3は76歳,女性.腹痛で受診した.CTで腹腔内遊離ガスとS状結腸と近接した左卵巣に腫大と内部にガス貯留を認め,S状結腸憩室炎による結腸穿孔および左卵管卵巣膿瘍と診断し,緊急でHartmann手術を行った.大腸憩室炎による卵管卵巣膿瘍は稀な病態であり,本邦報告例に自験例を加えた10症例についての検討を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1148