各種歯科用セメントとエックス線撮影装置の組み合わせによるエックス線不透過性

目的:補綴物周囲の余剰セメントは歯周炎の原因となるため除去を徹底しなければならないが,隣接面歯肉縁下では視診や触診による除去の確認が困難な場合があり,まれに臨床で残存セメントに遭遇する.そこで,臨床における残存セメントの検出に用いることを目的として各種歯科用セメントおよび,エックス線装置による不透過度の違いについて研究を行った. 材料と方法:まず,仮着用セメント4種と合着用セメント6種の計10種の歯科用セメントを厚さ0.2mmと0.8mmの小塊として硬化,エックス線撮影を行い,歯科用セメントの種類と厚さの違いによってエックス線写真への不透過性に差が出るかどうか,比較検討を行った.次に,仮着セメ...

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Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 279 - 285
Main Authors 前田, 祐貴, 須永, 健一, 岩田, 洋, 藤倉, 枝里子, 加藤, 智崇, 美濃, 直輝, 小川, 智久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 31.10.2022
日本歯科保存学会
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Summary:目的:補綴物周囲の余剰セメントは歯周炎の原因となるため除去を徹底しなければならないが,隣接面歯肉縁下では視診や触診による除去の確認が困難な場合があり,まれに臨床で残存セメントに遭遇する.そこで,臨床における残存セメントの検出に用いることを目的として各種歯科用セメントおよび,エックス線装置による不透過度の違いについて研究を行った. 材料と方法:まず,仮着用セメント4種と合着用セメント6種の計10種の歯科用セメントを厚さ0.2mmと0.8mmの小塊として硬化,エックス線撮影を行い,歯科用セメントの種類と厚さの違いによってエックス線写真への不透過性に差が出るかどうか,比較検討を行った.次に,仮着セメント1種と合着セメント2種の計3種のセメントを0.5mmの小塊として硬化,3組のエックス線装置・イメージングプレート(IP)でエックス線撮影を行い,エックス線撮影装置の違いによって歯科用セメントの写り具合に差が出るかどうか,比較検討を行った.これらの実験で得られたエックス線画像はImage Jにて測定を行った. 結果:歯科用セメントの種類・厚みの違い,撮影条件の違いにより異なるエックス線不透過像を得た.同じ撮影条件下では0.2mmのセメント厚さの場合,ジーシー フリージノールテンポラリーパックが,0.8mmのセメント厚さの場合はハイボンドテンポラリーセメントソフトの不透過性が高かった.また,異なる撮影条件で比較した場合,ハイボンドテンポラリーセメントハードに対し,エックス線装置SEARCHER70を用いて,IPプレートをイメージングプレート サイズ2 標準型で撮影,VISTA SCANで現像した場合が最も不透過性が高かった. 結論:余剰セメントの検出方法としてエックス線撮影が有益であり,また使用するIPとエックス線撮影装置の組み合わせにより,残存した歯科用セメントを高精細に確認できることが示唆された.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.65.279