高谷論文に対するEditorial Comment

高谷論文はうっ血性心不全を合併した感染性心内膜炎の症例報告である. 経過中に急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)による重症呼吸不全を併発し, これに対し好中球エラスターゼ阻害薬シベレスタットが奏功したと報告している. 一般に弁破壊による心不全を合併した感染性心内膜炎には早期の手術が必要であるが, 本例では呼吸不全の主因をARDSと判断し, 内科治療によって呼吸状態を改善させた後に手術を行って救命に成功しており, 興味深い症例といえる. また, ARDSの改善に, わが国で開発された新規薬剤であるシベレスタットが一役買っており,...

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Published in心臓 Vol. 41; no. 2; pp. 159 - 160
Main Author 今村, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
日本心臓財団
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Summary:高谷論文はうっ血性心不全を合併した感染性心内膜炎の症例報告である. 経過中に急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)による重症呼吸不全を併発し, これに対し好中球エラスターゼ阻害薬シベレスタットが奏功したと報告している. 一般に弁破壊による心不全を合併した感染性心内膜炎には早期の手術が必要であるが, 本例では呼吸不全の主因をARDSと判断し, 内科治療によって呼吸状態を改善させた後に手術を行って救命に成功しており, 興味深い症例といえる. また, ARDSの改善に, わが国で開発された新規薬剤であるシベレスタットが一役買っており, その意味でも価値のある論文と思われる. 感染性心内膜炎は全身性の感染症であり, 全身性炎症反応(sytemic inflammatory response syndrome;SIRS)を伴う. そしてSIRSはその1部分症状としてときにARDSを併発する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.159