分子標的治療薬を含むがん化学療法施行中の口腔内有害事象発症例の検討

分子標的治療薬における口腔内有害事象についての詳細な報告は少ない。今回われわれは,がん化学療法中に発生した口腔内有害事象のうち,分子標的治療薬を使用していた症例について臨床的検討を行った。2007年4月から2014年3月までに口腔内有害事象にて口腔ケア外来を受診した患者のうち,分子標的治療薬を投与されていた27例 (23患者) について使用薬剤および口腔内有害事象の詳細について検討を行った。使用薬剤は低分子化合物10例,モノクローナル抗体薬17例であった。低分子化合物は全て単独使用であったが,モノクローナル抗体薬は殺細胞薬と併用されていた。口腔粘膜炎は27症例全例に認め,味覚障害は4例でみられ...

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Published in日本口腔内科学会雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 川又, 均, 齋藤, 正浩, 土田, 修史, 大久保, 真希, 小宮山, 雄介, 秋山, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔内科学会 2016
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ISSN2186-6147
2186-6155
DOI10.6014/jjsom.22.1

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Summary:分子標的治療薬における口腔内有害事象についての詳細な報告は少ない。今回われわれは,がん化学療法中に発生した口腔内有害事象のうち,分子標的治療薬を使用していた症例について臨床的検討を行った。2007年4月から2014年3月までに口腔内有害事象にて口腔ケア外来を受診した患者のうち,分子標的治療薬を投与されていた27例 (23患者) について使用薬剤および口腔内有害事象の詳細について検討を行った。使用薬剤は低分子化合物10例,モノクローナル抗体薬17例であった。低分子化合物は全て単独使用であったが,モノクローナル抗体薬は殺細胞薬と併用されていた。口腔粘膜炎は27症例全例に認め,味覚障害は4例でみられた。全例口腔機能管理を行うことで対応可能であり治療期間の延期は認めなかった。使用薬剤のうちスニチニブ (マルチキナーゼ阻害薬) は,単独使用で口腔粘膜炎が生じており,使用前から積極的に口腔機能管理を行うことが必要であると考えられた。
ISSN:2186-6147
2186-6155
DOI:10.6014/jjsom.22.1