術後早期に結腸転移再発をきたし急速な転帰を辿った浸潤性乳管癌の1例

症例は74歳,女性.左C区域に約8mm大の不整形腫瘤を認め,針生検を施行し,浸潤性乳管癌と診断.左乳房全切除術+センチネルリンパ節生検を施行し,センチネルリンパ節に転移を認めたため腋窩郭清術を追加した.左乳癌pT1bN1(sn)M0 Stage IIA,ER+(>90%),PgR+(5%),HER2 negative(1+),Ki-67 5%と診断し,術後アナストロゾール内服を開始した.術後5カ月で症状は無くCEA上昇を認め,消化管精査のため上部下部内視鏡検査を施行.下部内視鏡検査にて横行結腸に隆起性病変を認め,生検にて乳癌の結腸転移と診断した.エリブリンを開始し,一時的に腫瘍マーカーは低下す...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 7; pp. 1303 - 1309
Main Authors 西山, 加那子, 日下部, 恵梨菜, 高田, 泰次, 志田原, 智広, 田口, 加奈, 亀井, 義明, 北澤, 理子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1303

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Summary:症例は74歳,女性.左C区域に約8mm大の不整形腫瘤を認め,針生検を施行し,浸潤性乳管癌と診断.左乳房全切除術+センチネルリンパ節生検を施行し,センチネルリンパ節に転移を認めたため腋窩郭清術を追加した.左乳癌pT1bN1(sn)M0 Stage IIA,ER+(>90%),PgR+(5%),HER2 negative(1+),Ki-67 5%と診断し,術後アナストロゾール内服を開始した.術後5カ月で症状は無くCEA上昇を認め,消化管精査のため上部下部内視鏡検査を施行.下部内視鏡検査にて横行結腸に隆起性病変を認め,生検にて乳癌の結腸転移と診断した.エリブリンを開始し,一時的に腫瘍マーカーは低下するも5カ月で再上昇を認め,皮膚転移と胃転移が出現した.パクリタキセルに変更するも全身状態不良となり,2カ月後に死亡した.Luminal A typeの浸潤性乳管癌が早期に転移再発した症例であり,若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1303