中等度低体温下の間歇的大動脈遮断による心筋保護を使用したCABG

要旨中等度低体温下の間歇的大動脈遮断(Anoxic Arrest:AA)による心筋保護での冠動脈バイパス術(CABG)を導入した。それまでの晶質性心筋保護液(CCP)でのCABGと比較検討を行った。2枝または3枝のCABG症例を対象とし、AA群10例と、CCP群11例を比較した。AAでは、直腸温28℃でVfとし、大動脈遮断下でCABG末梢吻合を10-15分で施行、その後遮断解除して3分間の冠動脈灌流を行い各吻合でこれを繰り返した。各群間における体外循環時間、大動脈遮断時間、術後のカテコラミン使用状況(ICU帰室1時間後の投与量、帰室後12時間の総投与量)について比較した。体外循環時間、および各...

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Published in体外循環技術 Vol. 35; no. 2; pp. 136 - 137
Main Authors 仲野, 孝, 荻原, 正規, 舩木, 哲也, 稲葉, 昌道, 木村, 佳央, 長沼, 謙次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体外循環技術医学会 2008
日本体外循環技術医学会
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ISSN0912-2664
1884-5452
DOI10.7130/hokkaidoshakai.35.136

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Summary:要旨中等度低体温下の間歇的大動脈遮断(Anoxic Arrest:AA)による心筋保護での冠動脈バイパス術(CABG)を導入した。それまでの晶質性心筋保護液(CCP)でのCABGと比較検討を行った。2枝または3枝のCABG症例を対象とし、AA群10例と、CCP群11例を比較した。AAでは、直腸温28℃でVfとし、大動脈遮断下でCABG末梢吻合を10-15分で施行、その後遮断解除して3分間の冠動脈灌流を行い各吻合でこれを繰り返した。各群間における体外循環時間、大動脈遮断時間、術後のカテコラミン使用状況(ICU帰室1時間後の投与量、帰室後12時間の総投与量)について比較した。体外循環時間、および各吻合での大動脈遮断時間はAA群で有意に短縮された。カテコラミン使用は、術後1時間後投与量でAA群が多かったが、術後12時間の総投与量では差がなかった。AA群はCCP群と比較して、体外循環時間および心筋虚血時間が短縮され、低侵襲化が得られた。しかし、術後のカテコラミン総使用量では変化がなく、心筋傷害軽減の効果は明らかではなかった。
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/hokkaidoshakai.35.136