真武湯が奏効した発熱疾患の3例

筆者らは真武湯が奏効した非定型的な熱性疾患の三症例を報告した。第一例は発熱に全身の疼痛を伴い,第二例は強い全身倦怠感を,そして第三例は全身の違和感を伴っていた。いずれの症例も真武湯証に通常見られる,めまい感や動揺感などを伴わなかったが,高木嘉子の提唱する左臍傍圧痛が明らかで,これを根拠として真武湯証と決定した。これらの症例を通して,これまでに我々が固定観念として持っている真武湯証とは全く異なる,新たな形の真武湯証があることを提案した。すなわち,悪寒を伴う発熱で,脈は浮・弱,自然発汗がなく,全身倦怠感や身体痛を伴い,高木の左臍傍の圧痛点が激しく痛む病型である。...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 36 - 41
Main Authors 寺澤, 捷年, 小林, 亨, 太田, 陽子, 隅越, 誠, 平崎, 能郎, 地野, 充時
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2023
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Summary:筆者らは真武湯が奏効した非定型的な熱性疾患の三症例を報告した。第一例は発熱に全身の疼痛を伴い,第二例は強い全身倦怠感を,そして第三例は全身の違和感を伴っていた。いずれの症例も真武湯証に通常見られる,めまい感や動揺感などを伴わなかったが,高木嘉子の提唱する左臍傍圧痛が明らかで,これを根拠として真武湯証と決定した。これらの症例を通して,これまでに我々が固定観念として持っている真武湯証とは全く異なる,新たな形の真武湯証があることを提案した。すなわち,悪寒を伴う発熱で,脈は浮・弱,自然発汗がなく,全身倦怠感や身体痛を伴い,高木の左臍傍の圧痛点が激しく痛む病型である。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.74.36