破裂で発見され急速に進行した膵管内乳頭粘液性腺癌の1例

今回,嚢胞破裂を起因として発見された膵管内乳頭粘液性腺癌(intraductal papillary mucinous carcinoma:以下IPMC)の1例を経験した.症例は82歳,男性.突然の左側腹部痛にて発症し,腹部造影CTで膵体尾部に充実成分を含む多発性の嚢胞性病変を認め,周囲に少量の腹水も認めた.膵嚢胞破裂の診断で,嚢胞周囲の液体成分に対して超音波内視鏡下経胃ドレナージを行い,待機的手術の方針となった.腹水細胞診はclass IIであった.膵嚢胞性腫瘍の診断で,発症62日後に膵体尾部切除術を施行した.最終診断は,多発型膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC),T2,N0,M0 pStage...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 8; pp. 1575 - 1582
Main Authors 数納, 祐馬, 柏木, 宏之, 河内, 順, 手島, 伸一, 増田, 作栄, 五十嵐, 優人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1575

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Summary:今回,嚢胞破裂を起因として発見された膵管内乳頭粘液性腺癌(intraductal papillary mucinous carcinoma:以下IPMC)の1例を経験した.症例は82歳,男性.突然の左側腹部痛にて発症し,腹部造影CTで膵体尾部に充実成分を含む多発性の嚢胞性病変を認め,周囲に少量の腹水も認めた.膵嚢胞破裂の診断で,嚢胞周囲の液体成分に対して超音波内視鏡下経胃ドレナージを行い,待機的手術の方針となった.腹水細胞診はclass IIであった.膵嚢胞性腫瘍の診断で,発症62日後に膵体尾部切除術を施行した.最終診断は,多発型膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC),T2,N0,M0 pStage IB(膵癌取扱い規約第7版)であった.IPMCの一部に退形成癌への移行像が認められた.術後半年で大腿骨・脛骨・上腕骨に転移性骨腫瘍と骨折を認め,骨接合術を行ったが徐々に全身状態悪化し1カ月後に死亡した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1575