CABGにおけるMECCの使用経験

心臓手術の低侵襲化を図るために,我々は心臓を切開しないCABGにおいてMinimized Extracorporeal Circulation(MECC)を取り入れ,2003年4月から2004年8月までに30例を経験した。MECCは,血液と空気の接触がない閉鎖回路で,基本回路は遠心ポンプ(Rota Flow),膜型人工肺(QUADROX)からなる。我々はこの基本回路に動脈フィルタ(QUART)を組み込むことで安全性を高め,更に心筋保護回路,ベント回路を組み込むことで心停止下におけるCABGへの対応を可能にした。また,回路の中にソフトリザーバを組み込み,術中のボリューム管理により血行動態を安定さ...

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Published in体外循環技術 Vol. 32; no. 1; pp. 103 - 105
Main Authors 佐賀, 俊彦, 佐竹, 麻美, 長嶋, 隆夫, 井村, 正人, 小川, 達也, 境, 真生子, 古田, 朋之, 中井, 紀裕, 岡本, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体外循環技術医学会 2005
日本体外循環技術研究会
Subjects
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ISSN0912-2664
1884-5452
DOI10.7130/hokkaidoshakai.32.103

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Summary:心臓手術の低侵襲化を図るために,我々は心臓を切開しないCABGにおいてMinimized Extracorporeal Circulation(MECC)を取り入れ,2003年4月から2004年8月までに30例を経験した。MECCは,血液と空気の接触がない閉鎖回路で,基本回路は遠心ポンプ(Rota Flow),膜型人工肺(QUADROX)からなる。我々はこの基本回路に動脈フィルタ(QUART)を組み込むことで安全性を高め,更に心筋保護回路,ベント回路を組み込むことで心停止下におけるCABGへの対応を可能にした。また,回路の中にソフトリザーバを組み込み,術中のボリューム管理により血行動態を安定させることを可能とした。回路が簡便であることは,体外循環に要する準備時間の短縮,初期充填量の削減につながり,また閉鎖回路であることは空気との接触による炎症反応を低下させると考えられる。心臓を切開しないCABGにおいてMECCを使用することは,従来の人工心肺に比べ低侵襲の体外循環につながると考えられた。
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/hokkaidoshakai.32.103