癌性腹水を伴う切除不能進行・再発胃癌に対するKM-CARTの有用性

大量の癌性腹水を伴う切除不能進行・再発胃癌は,薬物療法の施行が困難で予後が悪い.改良型腹水濾過濃縮静注法(KM-CART)は悪化した全身状態を改善し,薬物療法の継続やBSCに有益であると報告されている.当科のKM-CART治療の成績と有用性を報告した.対象は2017年1月から2019年9月までに癌性腹水を伴う切除不能進行・再発胃癌患者へKM-CARTを施行した23例(58回)であり,導入時期は,1次治療が4例,2次治療が7例,3次治療以降が5例,BSCが7例であった.施行後の血清Alb値は維持され,血清Cr値は改善した.KM-CARTにより薬物療法の導入が可能となり,KM-CART開始後の生存...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 7; pp. 1229 - 1237
Main Authors 土井, 寛文, 小林, 弘典, 二宮, 基樹, 久原, 佑太, 白川, 賢司, 豊田, 和宏, 矢野, 雷太, 橋本, 泰司, 平原, 慧, 坂下, 吉弘, 横山, 雄二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1229

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Summary:大量の癌性腹水を伴う切除不能進行・再発胃癌は,薬物療法の施行が困難で予後が悪い.改良型腹水濾過濃縮静注法(KM-CART)は悪化した全身状態を改善し,薬物療法の継続やBSCに有益であると報告されている.当科のKM-CART治療の成績と有用性を報告した.対象は2017年1月から2019年9月までに癌性腹水を伴う切除不能進行・再発胃癌患者へKM-CARTを施行した23例(58回)であり,導入時期は,1次治療が4例,2次治療が7例,3次治療以降が5例,BSCが7例であった.施行後の血清Alb値は維持され,血清Cr値は改善した.KM-CARTにより薬物療法の導入が可能となり,KM-CART開始後の生存期間は17~654日であった.症状緩和の効果も大きく,BSCに貢献できた.KM-CARTは癌性腹水を伴う切除不能進行・再発胃癌に対して,薬物療法の継続で予後に,症状緩和でBSCに貢献できると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1229