顔面非対称患者の正貌骨格形態と下顎頭運動路の関連
緒言 顎変形症患者では, その骨格形態の特徴が顎運動にも反映されている. 従来より, 下顎前突症患者では, 下顎前方運動において矢状面の骨格的不調和が大きくなるほど正常咬合者に比べて矢状顆路角が小さくなることが報告されている1, 2). 前頭面においても, 正貌形態の非対称度と下顎頭前方運動路の非対称度との関連が示唆されてきた3, 4). しかし, 顔面非対称患者の機能検査において, 下顎頭運動路は前方運動のみならず, 開口運動, 側方運動においても特徴的な所見を認めるが, それらの運動についてはこれまでほとんど報告されていない. また, 顔面非対称患者の骨格的非対称は下顔面のみならず中顔面に...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 264 - 272 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
2000
日本顎変形症学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0916-7048 1884-5045 |
DOI | 10.5927/jjjd1991.10.264 |
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Summary: | 緒言 顎変形症患者では, その骨格形態の特徴が顎運動にも反映されている. 従来より, 下顎前突症患者では, 下顎前方運動において矢状面の骨格的不調和が大きくなるほど正常咬合者に比べて矢状顆路角が小さくなることが報告されている1, 2). 前頭面においても, 正貌形態の非対称度と下顎頭前方運動路の非対称度との関連が示唆されてきた3, 4). しかし, 顔面非対称患者の機能検査において, 下顎頭運動路は前方運動のみならず, 開口運動, 側方運動においても特徴的な所見を認めるが, それらの運動についてはこれまでほとんど報告されていない. また, 顔面非対称患者の骨格的非対称は下顔面のみならず中顔面にも認められることから5), 下顎に加えて上顎の非対称度がそれぞれの下顎頭運動路に影響を及ぼしていると考えられるが, 前方運動時における両者の関連が報告されているのみである3, 4). 外科的矯正治療による骨格的非対称の改善に伴う顎運動の変化を把握する上で, 初診時における各運動時の下顎頭運動路の特徴を明らかにし, 顎顔面形態の非対称度との関連を調べることは, きわめて重要な情報を提供するものと思われる. 本研究では, 正貌骨格形態における上下顎骨各部位の非対称度と開口, 前方, 側方運動における下顎頭運動路の非対称度との関連を検討した. |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd1991.10.264 |