経皮的腎生検後の腎動静脈瘻に対しコイル塞栓術を行った10歳女児例

症例は特に基礎疾患のない10歳女児.学校検尿で高度蛋白尿を指摘され,持続するため原因検索目的にエコーガイド下経皮的腎生検を行った.生検直後に肉眼的血尿がみられたが翌日には軽快し,腎周囲血腫も縮小傾向を認めたため腎生検3日後に退院した.退院2日後に下腹部痛と肉眼的血尿が出現したため再入院し,造影CTで腎動静脈瘻からの出血と診断した.再入院2日後(腎生検7日後)にコイル塞栓術を行い,その後は症状改善が得られた.動静脈瘻の位置から,意図せず腎中心部付近を穿刺したことが原因と考えられた.遠隔期に行った腎静態シンチグラフィでは有意な分腎機能の低下を認めなかった.腎病理は微小変化であり,最終的に体位性蛋白...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 38; pp. cr.24-031 - 0
Main Authors 大串, 栄彦, 岡, 政史, 古川, 理恵, 江頭, 秀哲, 松尾, 宗明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2025
日本小児腎臓病学会
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Summary:症例は特に基礎疾患のない10歳女児.学校検尿で高度蛋白尿を指摘され,持続するため原因検索目的にエコーガイド下経皮的腎生検を行った.生検直後に肉眼的血尿がみられたが翌日には軽快し,腎周囲血腫も縮小傾向を認めたため腎生検3日後に退院した.退院2日後に下腹部痛と肉眼的血尿が出現したため再入院し,造影CTで腎動静脈瘻からの出血と診断した.再入院2日後(腎生検7日後)にコイル塞栓術を行い,その後は症状改善が得られた.動静脈瘻の位置から,意図せず腎中心部付近を穿刺したことが原因と考えられた.遠隔期に行った腎静態シンチグラフィでは有意な分腎機能の低下を認めなかった.腎病理は微小変化であり,最終的に体位性蛋白尿と判断した.小児の腎生検では処置を要する重篤な出血性合併症の頻度は低く,塞栓術が必要となることは稀だが,発生時に遅延なく対応できる準備が必要である.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.24-031