ナノ医療を加速するナノ粒子解析プラットフォームの開発

エクソソームは、細胞が分泌するナノベシクルの一種である。がんをはじめとする難治疾患の早期検出や治療効果判定に利用できる疾病マーカー候補として注目されており、さらに、核酸医薬の薬物送達システム(DDS)、間葉系幹細胞由来エクソソームによる再生医療等、治療応用への期待も高まりつつある。しかし、直径が数10~100 nm、かつ、不均質な粒子集団を分析・同定することは難しく、細胞外小胞の研究者の間で新たなナノ粒子の分析手段を求める声が高まっている。本稿では、筆者らが考案した「マイクロ流路デバイスを用いる免疫粒子電気泳動法の原理」に基づき、株式会社ニコンと共同開発したナノ粒子解析装置について、開発の背景...

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Published inDrug Delivery System Vol. 30; no. 3; pp. 204 - 211
Main Authors 赤木, 貴則, 一木, 隆範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本DDS学会 2015
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ISSN0913-5006
1881-2732
DOI10.2745/dds.30.204

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Summary:エクソソームは、細胞が分泌するナノベシクルの一種である。がんをはじめとする難治疾患の早期検出や治療効果判定に利用できる疾病マーカー候補として注目されており、さらに、核酸医薬の薬物送達システム(DDS)、間葉系幹細胞由来エクソソームによる再生医療等、治療応用への期待も高まりつつある。しかし、直径が数10~100 nm、かつ、不均質な粒子集団を分析・同定することは難しく、細胞外小胞の研究者の間で新たなナノ粒子の分析手段を求める声が高まっている。本稿では、筆者らが考案した「マイクロ流路デバイスを用いる免疫粒子電気泳動法の原理」に基づき、株式会社ニコンと共同開発したナノ粒子解析装置について、開発の背景と技術概要を紹介する。本装置は、ナノ粒子検出に最適化したマイクロチップと光学装置により、直径50 nmに満たない微小粒子を個々に検出し、ナノ粒子集団の「濃度」、「粒子径分布」、「表面電位」、「表面抗原性」等の指標に基づく評価を可能にする。
ISSN:0913-5006
1881-2732
DOI:10.2745/dds.30.204