強迫症状に苓桂朮甘湯が有効であった2例

強迫症状に漢方薬が有効であった報告は少なく,苓桂朮甘湯の報告はない。今回我々は,苓桂朮甘湯が強迫症状に有効であった2症例を報告する。症例1は39歳女性,漠然とした不安があり様々な確認行為のために,家を出るまでに約40分を要し会社を度々遅刻するなど強迫症であった。苓桂朮甘湯を開始したところ約5分にまで改善した。症例2は57歳女性,主訴は朝,頭がすっきりしないことであり,ゆううつ感,日中の眠気にも困っていた。窓の施錠確認を約5回する強迫症状もあった。苓桂朮甘湯を開始したところ,主訴,ゆううつ感や日中の眠気は改善した。確認行為も約1回にまで改善した。苓桂朮甘湯は水毒,立ちくらみ,気逆を目標に用いるが...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 34 - 38
Main Authors 河尻, 澄宏, 杵渕, 彰, 伊藤, 隆, 木村, 容子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2024
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Summary:強迫症状に漢方薬が有効であった報告は少なく,苓桂朮甘湯の報告はない。今回我々は,苓桂朮甘湯が強迫症状に有効であった2症例を報告する。症例1は39歳女性,漠然とした不安があり様々な確認行為のために,家を出るまでに約40分を要し会社を度々遅刻するなど強迫症であった。苓桂朮甘湯を開始したところ約5分にまで改善した。症例2は57歳女性,主訴は朝,頭がすっきりしないことであり,ゆううつ感,日中の眠気にも困っていた。窓の施錠確認を約5回する強迫症状もあった。苓桂朮甘湯を開始したところ,主訴,ゆううつ感や日中の眠気は改善した。確認行為も約1回にまで改善した。苓桂朮甘湯は水毒,立ちくらみ,気逆を目標に用いるが,本2例は気逆よりも気うつが主であった。気うつが主体の強迫症状で水毒,立ちくらみがあれば苓桂朮甘湯は鑑別に挙げてよい方剤と考えられた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.75.34