3年間の経過中に増大を認めた胸腺原発の類表皮嚢胞の1例

症例は66歳,女性.縦隔腫瘤の加療目的で紹介となった.造影CTで前縦隔に56×35mmの造影効果の乏しい境界明瞭な腫瘤を認めた.腫瘤は3年間で8mmの増大を認めた.MRIで前縦隔腫瘍はT1強調像で均一な高信号を呈し,T2強調像で高信号域と低信号域が混在していた.成熟嚢胞性奇形腫を疑い,手術を施行した.左横隔神経は腫瘤と強固に癒着していたので合併切除し,全胸腺摘出術とした.病理組織学的検査で悪性細胞は認めず,類表皮嚢胞と診断した.術後経過は良好で,術後8日目に退院した.胸腺原発の類表皮嚢胞の報告は自験例を含めて7例のみであり,稀な疾患である.緩徐に増大する充実性縦隔腫瘍の手術適応を検討する際に,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 8; pp. 1508 - 1512
Main Authors 三浦, 健太郎, 宮下, 遼平, 小林, 宣隆, 中村, 大輔, 宮澤, 正久, 里見, 英俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.1508

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Summary:症例は66歳,女性.縦隔腫瘤の加療目的で紹介となった.造影CTで前縦隔に56×35mmの造影効果の乏しい境界明瞭な腫瘤を認めた.腫瘤は3年間で8mmの増大を認めた.MRIで前縦隔腫瘍はT1強調像で均一な高信号を呈し,T2強調像で高信号域と低信号域が混在していた.成熟嚢胞性奇形腫を疑い,手術を施行した.左横隔神経は腫瘤と強固に癒着していたので合併切除し,全胸腺摘出術とした.病理組織学的検査で悪性細胞は認めず,類表皮嚢胞と診断した.術後経過は良好で,術後8日目に退院した.胸腺原発の類表皮嚢胞の報告は自験例を含めて7例のみであり,稀な疾患である.緩徐に増大する充実性縦隔腫瘍の手術適応を検討する際に,類表皮嚢胞を想起すれば経過観察を選択可能であるので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1508