瘤切除と血行再建を行った感染性心内膜炎による上腸間膜動脈瘤の1例
症例は76歳,女性.感染性心内膜炎の診断で,循環器内科にて入院治療中であった.心窩部不快感が出現したため造影CTを行ったところ,上腸間膜動脈周囲の脂肪織濃度上昇所見があり,同動脈への感染と診断した.抗菌薬治療を継続していたが,その後腹痛を認めCTを再検したところ,上腸間膜動脈本幹に嚢状動脈瘤の形成を認めた.感染コントロール不良と判断し,瘤切除術と自家静脈による上腸間膜動脈再建術を施行した.感染性心内膜炎による上腸間膜動脈瘤は感染および破裂,いずれのコントロールも重要であり,ひとたび破裂するとその治療に難渋することが多い.破裂前に診断し最適な治療を行うために,感染性心内膜炎など血流感染の治療中に...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 8; pp. 1194 - 1198 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.84.1194 |
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Summary: | 症例は76歳,女性.感染性心内膜炎の診断で,循環器内科にて入院治療中であった.心窩部不快感が出現したため造影CTを行ったところ,上腸間膜動脈周囲の脂肪織濃度上昇所見があり,同動脈への感染と診断した.抗菌薬治療を継続していたが,その後腹痛を認めCTを再検したところ,上腸間膜動脈本幹に嚢状動脈瘤の形成を認めた.感染コントロール不良と判断し,瘤切除術と自家静脈による上腸間膜動脈再建術を施行した.感染性心内膜炎による上腸間膜動脈瘤は感染および破裂,いずれのコントロールも重要であり,ひとたび破裂するとその治療に難渋することが多い.破裂前に診断し最適な治療を行うために,感染性心内膜炎など血流感染の治療中に腹部症状が出現した際には,たとえ軽微な症状の変化であっても積極的に画像検索を行うことが必要である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.84.1194 |