小児栄養に関する諸問題 - 第44回九州小児外科研究会アンケート調査より

「要旨」【目的】九州小児外科研究会の会員施設に小児の栄養に関する様々な問題についてアンケート調査を行い, 結果を集計し考察を加え報告する. 【方法】25施設を対象とした, アンケート内容は1. 術前経口補水療法, 2. 栄養剤の半固形化, 3. 中心静脈カテーテル, 4. 微量元素, 5. カルニチン, 6. Omegaven(R)の使用状況, 7. nutrition support team (NST) の稼働状況とした. 【結果】24施設より回答が得られた. 術前の経口補水療法 (ORT) を導入している施設は8施設であった. 鼠径ヘルニア根治術等の小手術が主な対象で, 術前2時間前まで...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 53; no. 2; pp. 258 - 265
Main Authors 古賀義法, 財前善雄, 後藤由紀子, 石井生, 稲富香織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.04.2017
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「要旨」【目的】九州小児外科研究会の会員施設に小児の栄養に関する様々な問題についてアンケート調査を行い, 結果を集計し考察を加え報告する. 【方法】25施設を対象とした, アンケート内容は1. 術前経口補水療法, 2. 栄養剤の半固形化, 3. 中心静脈カテーテル, 4. 微量元素, 5. カルニチン, 6. Omegaven(R)の使用状況, 7. nutrition support team (NST) の稼働状況とした. 【結果】24施設より回答が得られた. 術前の経口補水療法 (ORT) を導入している施設は8施設であった. 鼠径ヘルニア根治術等の小手術が主な対象で, 術前2時間前までORTを行う施設が多くみられた. 栄養剤の半固形化は11施設で行われ, 主な対象は重症心身障碍児や胃食道逆流症であった. 投与理由は下痢の防止が最も多く, 投与経路は胃瘻で投与方法はボーラス投与であった. 乳児に対する末梢挿入型中心静脈カテーテル (PICC) は17施設で使用されていた. 中心静脈カテーテルによる在宅栄養管理を行っている施設は10施設であった. Fe, Zn, Se, Cuなどの微量元素欠乏を11施設で経験していた. Se測定は14施設で行われており, 主な対象は長期TPN症例であった. カルニチンの測定は9施設で行われており, うち5施設で欠乏症を経験していた. 欠乏症の治療としてレボカルニチンの投与などが行われていた. Omegaven(R)は3施設で使用経験があった. 対象疾患は短腸症候群やヒルシュスプルング病類縁疾患等であり, 全例症状が改善したとの回答を得た. NSTは24施設中23施設で稼働しておりうち17施設でNST加算が算定されていた. NSTを主導している科は, 小児外科が11施設と最も多かった. 【結論】今回のアンケート調査で九州地区の小児栄養に関する現状と問題点が明らかとなった.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.53.2_258