昭和大学歯科病院歯内治療科における臨床統計

目的 : 本研究の目的は, 平成24年度 (2012年4月~2013年3月) の昭和大学歯科病院歯内治療科を受診した外来患者の根管治療の現状について調査, 分析をすることである.  方法 : 調査対象は, 昭和大学歯科病院歯内治療科において平成24年度に根管治療を施行した患者とした. 対象患者のうち, 根管充塡した歯の歯種別本数, 歯種別平均治療回数, 根管充塡予後の調査を行った. また, 平成21年度の当科における臨床統計と比較検討した.  結果 :  1. 根管治療を施行した患者数は863名であった.  2. 根管充塡を行った歯数は953歯で, 歯髄炎が372歯, 根尖性歯周炎が581歯で...

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Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 57; no. 3; pp. 239 - 244
Main Authors 古川, 恵理奈, 細田, 秀剛, 八幡, 祥生, 増田, 宜子, 中山, 乾, 坂上, 斉, 鈴木, 重紀, 宮﨑, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 2014
日本歯科保存学会
Subjects
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.57.239

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Summary:目的 : 本研究の目的は, 平成24年度 (2012年4月~2013年3月) の昭和大学歯科病院歯内治療科を受診した外来患者の根管治療の現状について調査, 分析をすることである.  方法 : 調査対象は, 昭和大学歯科病院歯内治療科において平成24年度に根管治療を施行した患者とした. 対象患者のうち, 根管充塡した歯の歯種別本数, 歯種別平均治療回数, 根管充塡予後の調査を行った. また, 平成21年度の当科における臨床統計と比較検討した.  結果 :  1. 根管治療を施行した患者数は863名であった.  2. 根管充塡を行った歯数は953歯で, 歯髄炎が372歯, 根尖性歯周炎が581歯であった. 歯種別本数の内訳は, 歯髄炎では上顎大臼歯部が83歯, 上顎小臼歯部が53歯, 上顎前歯部が55歯, 下顎大臼歯部が69歯, 下顎小臼歯部が46歯, 下顎前歯部が66歯であった. 一方, 根尖性歯周炎では上顎大臼歯部が112歯, 上顎小臼歯部が89歯, 上顎前歯部が109歯, 下顎大臼歯部が154歯, 下顎小臼歯部が68歯, 下顎前歯部が49歯であった.  3. 根管充塡までの平均治療回数は歯髄炎が2.8回, 根尖性歯周炎が3.5回であった.  4. 平成21年度の当科の臨床統計との比較では, 外来患者数は419名から863名, 根管充塡を行った歯数は348歯から953歯と増加した. 対照的に, 平均治療回数は, 歯髄炎で3.9回から2.8回, 根尖性歯周炎で5.7回から3.5回と減少した.  結論 : 平成21年度の当科の臨床統計と比較して, 患者数・根管充塡歯数が増加したことから, 院内他科, 地域の歯科医院からの紹介を含めて需要の増加がみられた. また平均治療回数が減少した理由として, 通常の根管治療によって治癒しない症例を早期にマイクロスコープやコーンビームCTの導入によって診断し, 根尖孔破壊や穿孔, 歯根破折などを早期に発見し, 外科処置へスムーズに移行させることができるようになったことや, 習熟したドクターのニッケルチタンロータリーファイル使用による作業効率の向上が推測される. 今後も当科における根管治療の現状を把握し, 医療連携を推進させるためにも継続的に統計的観察を行い報告していく予定である.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.57.239