統合失調症治療における持効性注射剤の役割と今後の課題

持効性注射剤(LAI)は、2~4週間に1度投与することで安定した血中濃度が得られるように設計されたコントロールドリリース製剤である。長期的な服薬継続が不可欠な統合失調症治療において、LAIは有用な治療戦略の1つである。これまでのLAIは拒薬や病識がない患者に対して強制的に使用されるという負の印象が強かったが、第二世代抗精神病薬のLAIが上市されるとともに外来における維持療法としての役割が期待されている。精神科医療が入院から外来へと移行しつつあるなかで、社会復帰という観点からも服薬の負担から解放されるLAIのメリットは大きい。本稿では、精神科領域におけるLAIの臨床的意義と各薬剤の特徴、今後の課...

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Published inDrug Delivery System Vol. 31; no. 3; pp. 186 - 193
Main Authors 波多野, 正和, 亀井, 浩行, 岩田, 仲生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本DDS学会 2016
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Summary:持効性注射剤(LAI)は、2~4週間に1度投与することで安定した血中濃度が得られるように設計されたコントロールドリリース製剤である。長期的な服薬継続が不可欠な統合失調症治療において、LAIは有用な治療戦略の1つである。これまでのLAIは拒薬や病識がない患者に対して強制的に使用されるという負の印象が強かったが、第二世代抗精神病薬のLAIが上市されるとともに外来における維持療法としての役割が期待されている。精神科医療が入院から外来へと移行しつつあるなかで、社会復帰という観点からも服薬の負担から解放されるLAIのメリットは大きい。本稿では、精神科領域におけるLAIの臨床的意義と各薬剤の特徴、今後の課題について概説する。
ISSN:0913-5006
1881-2732
DOI:10.2745/dds.31.186