露髄を伴う前歯部破折症例への加圧直接覆髄処置と即日接着修復の応用
目的 : 直接覆髄法は, 窩洞形成や外傷による偶発的な露髄が生じたときに行われる. 今回, 外傷による露髄を伴う前歯部破折症例に, MTAを用いた直接歯髄覆髄およびフロアブルコンポジットレジンによる破折片の接着を行い, その臨床経過を観察した. 症例 : 患者は32歳, 女性. 外傷にて上顎右側中切歯の歯冠約1/2が水平的に破折し, 破折断面には点状露髄, 軽度の自発痛と冷水痛が認められた. 露髄面にケミカルサージェリーを行い, MTAを軽度に加圧して覆髄, 硬化を確認した後セルフエッチングプライマーにて残存歯質と破折片へ接着処理を行い, フロアブルコンポジットレジンにて接着した. 結果 :...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 63; no. 5; pp. 432 - 437 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
2020
日本歯科保存学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.63.432 |
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Summary: | 目的 : 直接覆髄法は, 窩洞形成や外傷による偶発的な露髄が生じたときに行われる. 今回, 外傷による露髄を伴う前歯部破折症例に, MTAを用いた直接歯髄覆髄およびフロアブルコンポジットレジンによる破折片の接着を行い, その臨床経過を観察した. 症例 : 患者は32歳, 女性. 外傷にて上顎右側中切歯の歯冠約1/2が水平的に破折し, 破折断面には点状露髄, 軽度の自発痛と冷水痛が認められた. 露髄面にケミカルサージェリーを行い, MTAを軽度に加圧して覆髄, 硬化を確認した後セルフエッチングプライマーにて残存歯質と破折片へ接着処理を行い, フロアブルコンポジットレジンにて接着した. 結果 : 術後3週, 3, 6カ月に不快症状は認められず, 歯髄の生活反応が存在し, 歯冠部の審美性は維持されていた. 結論 : 外傷歯の直接歯髄覆髄の1症例において, MTAを歯髄側に向かって加圧後, 歯質接着性材料を使用して破折片を接着させて, 微小漏洩を遮断することで良好な予後が得られた. 本法により, 歯髄保護と審美的な修復を同時に行うことができた. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.63.432 |