脳室腹腔シャント留置下の感染性肝囊胞に対し単孔式腹腔鏡手術を施行した1例

症例は57歳の女性で,脳室腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt:以下,VPS)が留置されている。右側腹部痛で発症し精査で感染性肝囊胞が疑われた。経皮経肝的ドレナージで軽快したが,その後再燃した。脳脊髄液感染予防のためにVPSを体外でクランプし単孔式腹腔鏡下肝囊胞天蓋切除術を施行した。術中インドシアニングリーン(indocyanine green:以下,ICG)検査で胆汁漏の有無を確認した。術後は脳脊髄液感染,創感染,再発はなく,術後7日目に退院した。VPS留置下の手術では,術式や周術期VPS管理について一定の見解はない。VPSクランプや術中ICG検査を併用して感染...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 7; pp. 1075 - 1079
Main Authors 鍵谷, 卓司, 袴田, 健一, 山本, 孝夫, 山田, 貴大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2023
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.1075

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Summary:症例は57歳の女性で,脳室腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt:以下,VPS)が留置されている。右側腹部痛で発症し精査で感染性肝囊胞が疑われた。経皮経肝的ドレナージで軽快したが,その後再燃した。脳脊髄液感染予防のためにVPSを体外でクランプし単孔式腹腔鏡下肝囊胞天蓋切除術を施行した。術中インドシアニングリーン(indocyanine green:以下,ICG)検査で胆汁漏の有無を確認した。術後は脳脊髄液感染,創感染,再発はなく,術後7日目に退院した。VPS留置下の手術では,術式や周術期VPS管理について一定の見解はない。VPSクランプや術中ICG検査を併用して感染に留意した治療を行えば,単孔式腹腔鏡手術(single incision laparoscopic surgery:SILS)による低侵襲手術も可能と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.1075