水族館魚類の臨床や保全に関する研究

「要約」 当館では, 持続的な水族館運営を十分に勘案しつつ, 生物多様性の保全に貢献するための研究活動を推進している. 水族館獣医師の職務として保全に貢献するために, 生物学のブラックボックスである水棲生物における臨床知見の蓄積臨床技術の開発に関する研究を邁進している. 「はじめに」 第17回野生動物医学会大会のシンポジウム「研究する動物園」は, 今回4回目にして初めて, 水族館にスポットライトを当てたテーマとして開催されたが, 水族館における研究の“歴史”からいうと, 決して動物園に比べても遜色がないと思われる. 西[1]によると, 日本に動物園が入ってきた19世紀後半には, 主要な動物園動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 Vol. 17; no. 3; pp. 113 - 118
Main Author 伊東, 隆臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本野生動物医学会 28.09.2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1342-6133
2185-744X
DOI10.5686/jjzwm.17.113

Cover

Loading…
More Information
Summary:「要約」 当館では, 持続的な水族館運営を十分に勘案しつつ, 生物多様性の保全に貢献するための研究活動を推進している. 水族館獣医師の職務として保全に貢献するために, 生物学のブラックボックスである水棲生物における臨床知見の蓄積臨床技術の開発に関する研究を邁進している. 「はじめに」 第17回野生動物医学会大会のシンポジウム「研究する動物園」は, 今回4回目にして初めて, 水族館にスポットライトを当てたテーマとして開催されたが, 水族館における研究の“歴史”からいうと, 決して動物園に比べても遜色がないと思われる. 西[1]によると, 日本に動物園が入ってきた19世紀後半には, 主要な動物園動物の飼育法はかなり確立されており, 飼育方法の研究にそれほど奮闘しなくても, マニュアル通りで動物園を管理することができた. しかし, 上野動物園に「観魚室(うおのぞき)」が併設された日本の水族館の黎明期には, 十分に魚類飼育ができる状態ではなく, また水棲動物は陸棲動物よりも種類数が多いこともあり, むしろ動物園よりも飼育方法の研究が盛んに行われた.
ISSN:1342-6133
2185-744X
DOI:10.5686/jjzwm.17.113